作者


槐 真史 ぶん / 福井 利佐 

内容紹介


大きな水たまりも小さな水たまりも、じつは多様な生命を支えているのです。

夏、林の中に大きな水たまりができました。すると、鳥がやってきて水浴びをします。日が沈むと、タヌキやイノシシなども入れかわり立ちかわりやってきて、水浴びしたり水を飲んだりしました。ある雨上がり、町の中に小さな水たまりができました。さて、何かやってくるのでしょうか?

作者情報


槐 真史(えんじゅ まさふみ)

あつぎ郷土博物館学芸員、中井町教育委員会生涯学習参与として、自然史の調査研究・教育普及に従事。地域の生物多様性の保全にも取り組む。絵本に『バッタ』、『セミの こえ』(ともに福音館書店)等がある。

福井 利佐(ふくい りさ)

切り絵アーティスト。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。精密な描写と大胆な構図が特徴。国内外の展示等多方面で活躍。絵本は「かがくのとも」に『むしたちの おとの せかい』、『からまつ』がある。

担当編集者 より


この絵本では、ある林の中の大きな水たまりの様子を主に紹介しています。その水たまりには、昼も夜も入れかわり立ちかわり鳥や獣がやってきます。そして、水浴びをしたり、水を飲んだりするのです。

 絵本のモデルになった水たまりに、文の著者で自然史研究者の槐さんの案内で、絵の著者で切り絵アーティストの福井さんと3人で何度か通いました。

 そこは林の奥深く……ではなく、意外にも住宅地の裏山に入って5分と歩かないところです。水たまりのそばにしゃがんでじっくり周囲をながめてみました。小さな崖からしみ出た水が、そこに生えた苔をつたってぽたぽたと落ち、ささやかな流れをつくり、水たまりに供給されています。それから、獣道が一本、また一本と見えてきて、水たまりから放射状に何本も伸びていることに気付きます。水たまりが長持ちする仕組みと、水たまりが生きものを引き寄せる力を実感しました。

 町の中の水たまりは、大人にとっては避けて歩くだけの少し迷惑な存在ですが、子どもは止めても吸い寄せられていきます。「この子は水たまりの力を感じているんだ」と大目にみてあげる大人が増えたらいいな……そんなことも願っています。

書誌情報


読んであげるなら:5・6才から
自分で読むなら:―
定価:460円(税込)
ページ数:28ページ
サイズ:25×23cm
初版年月日:2025年08月01日
通巻:かがくのとも 677号