「地球は回っている」と 感じるよろこび

『地球は日時計』は、太陽のつくる影を実際に観察しながら時間を測定し、地球の自転や公転の法則について知っていく、ユニークな科学絵本です。作者は「観察すること」「考えること」の面白さを子どもたちに伝えてきた安野光雅さん。このたび、1985年「たくさんのふしぎ」11月号として刊行したものを立体しかけ絵本として再編集し、初のハードカバー化となりました。

安野さんは、知識として知ってはいても体感することは難しい「地球そのものの運動」を、日時計を通して子どもたちに体験してほしいと考え、この作品を立体的なしかけ絵本として作りました。月刊絵本としての刊行後品切れとなり、長らく幻の作品となっていましたが、2026年に安野さんの生誕100年を迎えることを記念して、このたびハードカバーとして復刊することとしました。


本ページでは、数多くの立体的なしかけが見どころの本作をより理解しやすくなるよう、楽しみ方やコツをご紹介します。ぜひ、安野さんの美しい絵とともに、地球の動きと時間の関係を体験してみてください。

楽しみ方とコツ①<影と時間、地球の自転>

『地球は日時計』の2ページ目の見開きでは、ヨーロッパの古い町とそこにかつてよく存在した日時計の塔が描かれています。
ぜひこのページを太陽の下で開いてしばらく眺めてみて下さい。絵の中の方位磁針にあわせて絵本を北に向けて観察すると、塔の影が時間とともに西から東へ動いていくのがわかります。
4ページ目の世界地図が描かれた見開きも同様に、太陽の下に置いておくと、北極にたてた棒の影が1時間に15°ずつ動いていくのが分かります。これは地球が24時間で一回転するという自転運動の証なのです。

楽しみ方とコツ②<地球の公転>

8ページ目と9ページ目を開くと、真ん中に小さな家が立ち上がります。このページを太陽の下で開いて、家の窓から差し込む太陽の光の位置を観察してみましょう。そしてその場所を写真にとっておいてください。季節が変わったら、写真を元にまた同じ場所で同じように開いてみて下さい。すると、窓から届く光の位置が変化することに気づくはずです。これは、地球が地軸を傾けながら太陽の周りを公転していることによるものなのです。

楽しみ方とコツ③<コマ型日時計と世界の日時計>

16ページにある仕掛け (画像上) は、コマの心ぼうを、その場所の緯度と同じ角度に傾けて置けば、地球上のどこでも使うことができる日時計です。心ぼうをページに対して垂直に立てれば北極の日時計、水平にすれば赤道の日時計になります。
このコマ型の日時計をより使いやすくしたのが、23ページ目の右上にある水平型日時計です (画像下)。このページにあるのは北緯35度用の日時計で、東京をはじめ、同じ緯度の場所であればどこでも使えます。

本書の7つの飛び出すしかけは、ひとつひとつ安野さんが自ら考案したもの。オレンジに見立てた地球の模型や、夏と冬の日差しの違いを比べられる小さな家のしかけなど、身近なモチーフを用いた工夫が詰まっています。40年前に月刊誌として刊行した時は、自分で組み立てる工作絵本でしたが、よりわかりやすく楽しめるよう、このたび立体的なしかけ絵本として仕立て直しました。お天気の日に、ぜひ外でこの本を開いて影の動きを見てみてください。私たちの日常に流れる時間は、広く大きい天体の運動につながっている。日時計を通して、その感動を味わってもらえたら嬉しいです。

※追記

刊行されたばかりの『地球は日時計』ですが、大好評につき現在品切れ、大急ぎで重版制作中です。1月末により出荷再開いたします。