作者
松岡達英 作
内容紹介
「ねえ、ちょうが すきなもの しってる?」。
そんな問いかけから、めくるめくチョウの世界が広がります。
蜜を吸おうと、さまざまな花の周りに集まる美しいチョウたち。
樹液や、落ちた果実が好きなチョウもいます。
絵本の中に登場するチョウの数は約50種(のべ70頭)!
あなたの周りを飛ぶチョウが好きなものは、何かな?
編集担当者 より
チョウは、種類によって大きさ、かたち、色がさまざまです。それどころか、同じ種であっても、オス・メスの違いや、発生時期(「春に羽化をするもの」・「秋に羽化をするもの」)によって、見た目が大きく異なるものもいます。
その多様性ゆえか、チョウは古今東西、多くの人々を魅了してきました。
作者の松岡達英さんも、その一人です。
「中学入学の日、図書館の図鑑で“トリバネアゲハ”という世界一大きく美しいチョウに出会って以来、その世界から抜け出せなくなり、今なお自然絵本を描き続けています。」とおっしゃる松岡さん。
これまでさまざまな自然科学絵本を手掛けてきた松岡さんの原点は、チョウとの出会いにあったのでした。
そんな松岡さんがこれまでに絵本で描いてきたチョウは、どれも美しく、生き生きとしていて、本当に宙を舞っているようでした。
そこに大きな魅力を感じ、「チョウたちがたくさん出てくる絵本を描いていただけませんか?」とお願いしたのは、2015年の春のことでした。
あまりに漠然としたお願いでしたが、「とにかく、一緒に取材をしましょう」と言っていただき、季節ごとに松岡さんのお住まいのある新潟県長岡市に通うことになりました。
春はツマキチョウを追いかけ、夏はオオムラサキを探し、秋にはキタテハをながめました。
そんな取材を重ねる中で気づいたのは、チョウをじっくりと見るためには、チョウが好きなものを知り、そこで待つことが近道だということでした。
そこから「チョウがすきなもの」を切り口に、たくさんのチョウが登場するという絵本の骨格を、松岡さんが組み上げてくださいました。
チョウが食事をしているときは、その姿をじっくり眺める大チャンス。一心不乱に花の蜜などを吸っているので、子どもたちでも簡単に近づくことができます。
また、食事が終わった後には、「食後のひとやすみ……」といった様子で、花の上や葉っぱの上で休む姿を見ることができます。
ピタッと翅を閉じていたチョウも、少し気が緩むのか、翅を開いて美しい模様を見せてくれることがあります。
きらきらと輝く翅の美しさはもとより、翅の表裏で印象がガラッと異なるものがいることにびっくりするのもこの時です。
この絵本を読んでもらった子どもたちが、自分の眼で、自分の足で、「ちょうが すきなもの」をさがしに行ってくれることを願っています。
作者情報
松岡達英(まつおかたつひで)
1944年、新潟県長岡市に生まれる。日本はもとより、中南米、アフリカ、東南アジアなどでの豊富な取材経験を生かし、数多くの自然科学絵本を発表している。『ジャングル』で児童福祉文化賞と日本科学読物賞、『イモリくん ヤモリくん』(ともに岩崎書店)で日本絵本賞を受賞。また、福音館書店には「あまがえるりょこうしゃ」シリーズ、『冒険図鑑』『地球がウンチだらけにならないわけ』『よるになると』『いけのおと』などの作品がある。「かがくのとも」に『さとやまに はるがきた』(2012年4月号)、『よるのいけ』(2019年9月号)など、「ちいさなかがくのとも」に『くさはらの わたしの へや』(2010年7月号)、『ギンヤンマ そらへ』(2014年7月号)など、作品多数。
書誌情報
読んであげるなら | :3才から |
自分で読むなら | :― |
定価 | :440円(税込) |
ページ数 | :24ページ |
サイズ | :20×23cm |
初版年月日 | :2020年04月01日 |
通巻 | :ちいさなかがくのとも 217号 |