作者
岩渕真理 作
内容紹介
大きな美しいまゆをつくる虫、ヤママユ。
そのまゆづくりは、幼虫が糸を三日三晩出し続けて行われるものです。
そうして出来上がったまゆの色は、周囲の木の葉の色にそっくりな黄緑色。
そのため、身近な雑木林や森にもまゆはあるはずですが、気付いたことのある人は稀でしょう。
自然の中で人知れず行われている生命の営み、そして、その造形美に迫りました。
編集担当者 より
全国の落葉性雑木林で生息しているヤママユという蛾の、透明感ある幼虫の体色や動作のいじらしさ、黄緑色のまゆの美しさ(ヤママユのまゆからとれる糸はカイコのまゆからとれる糸よりも希少価値が高く、繊維のダイヤモンドと呼ばれています)、成虫のチャームポイント等を伝えます。
蛾のことが苦手だった人も、ヤママユのことが愛おしく感じるようになること間違いなしです。
著者は「かがくのとも」2016年4月号『にわのキアゲハ』の岩渕真理さん。長年に渡るヤママユの飼育観察に基づき制作しました。
前作『にわのキアゲハ』は生存の過酷さという切り口によって、生命の奇跡を伝えましたが、今作は一つの命そのものの振る舞いから命の輝きを伝えます。
ちなみに、皇居には野蚕(やさん)室という、ヤママユを飼育するため部屋があります。
皇室と養蚕のつながりは古く、日本書紀にも記述があるほどで、長らく途絶えていた期間もあるものの、明治時代以降は、歴代皇后陛下の仕事として受け継がれてきているそうです。
作者情報
岩渕真理(いわぶちまり)
1984年生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、東京大学大学院学際情報学府修了。印刷会社のアートディレクターを経て、身近な生き物を通して、自然の魅力を伝えることをテーマに、イラスト、写真、デザインを手がける。現在、自然教育やコミュニケーション学に基づいて、子どもや大人が自然に親しむことができる絵本や、図鑑を制作する。絵本に『にわの キアゲハ』(「かがくのとも」2016年4月号)がある。
書誌情報
読んであげるなら | :5・6才から |
自分で読むなら | :― |
定価 | :440円(税込) |
ページ数 | :28ページ |
サイズ | :25×23cm |
初版年月日 | :2020年09月01日 |
通巻 | :かがくのとも 618号 |