作者


アデール・ド・レェーエフ 作/中尾幸 訳/アヤ井アキコ

内容紹介


幼いころは、とかくほかの人のほうがよく見えて、羨ましいなあと思いがちです。

このお話のこぐまも、大空を飛べる鳥が羨ましくて、自分は鳥になる!と、すっかりその気になって、鳥になる方法をいろいろ試みます。

でも、やはりくまは鳥になれないし、結局くまのほうがずっといいということがわかります。

長く読み継がれたお話を愛らしい絵本としてお届けします。

編集担当者 より


このお話は、アメリカで図書館員をやっていたアデール・ド・レェーエフが、70年以上前に子どもたちのために書いたお話で、アメリカのChild Lifeという雑誌に掲載されたものです。妹のカトーがイラストを担当して、アデールは、たくさんの子ども向けのお話を発表したようです。

子どもたちは、絵本を楽しむことで、主人公のくまになって、いろいろな失敗を体験し、やっぱりくまでよかったと、自分を客観的に見て、ありのままの自分の良さを発見します。これは、アイデンティティーの確立にも繋がっていくことだと思います。

子どもの成長の段階をおもしろく描いたこのお話は、アメリカで愛され、語り継がれ、アンソロジーにも収録されていたものですが、中尾さんの翻訳によって、日本の子どもたちにも楽しまれていました。

この度、アヤ井アキコさんの愛らしいくまの絵で、絵本として、さらに多くの子どもたちの手に届くことになりました。

北海道出身のくま好きのアヤ井さんが心を込めて何度も何度も描き直す中で生まれたこぐまの姿です。本当に絵本の中で、くまが生きていますね。

絵本としても長く読み継がれていきますように、と願っています。

作者情報


アデール・ド・レェーエフ(Adele de Leeuw)


1899年~1988年。アメリカ合衆国オハイオ州生まれ。子ども向けに多くの物語を執筆した。絵を描く妹カトーとの共著も多い。

中尾幸(なかおさち)


石井桃子、松岡享子、間崎ルリ子各氏より教えを受ける。1970年、兵庫県西宮の自宅にて「竹の子文庫」を開設。伊藤忠記念財団・子ども文庫功労賞受賞(2016年度)。現在は語り手、お話の講師としても活動している。絵本は今回がはじめて。

アヤ井アキコ(あやいあきこ)


1967年、北海道生まれ。大学卒業後、印刷会社勤務を経て、美学校シルクスクリーン工房で学び、絵本の創作を始める。絵本『もぐらはすごい』(アリス館)で日本絵本賞大賞を受賞。挿絵を手がけた絵本多数。東京都在住。

書誌情報


読んであげるなら:3才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:24ページ
サイズ:2×2cm
初版年月日:2020年09月01日
通巻:ちいさなかがくのとも 246号