作者


澤口たまみ 文/城芽ハヤト

内容紹介


夏の夕暮れ、田舎のおばあちゃんの家に遊びにきた男の子は、どこからか「かなかなかな……」という音を聞きました。

音の正体はヒグラシというセミの鳴き声です。

声はすれども姿は見えず。

夕暮れに響くその声は何とも幻想的です。

でもヒグラシは、じつは夕暮れだけではなく、明け方にも鳴いていて……。

夏の日の出会いと発見に満ちた絵本です。

編集担当者 より


 

 夏の夕暮れ、林や公園で、どこからかともなく聞こえてくる「かなかなかな……」という音。ヒグラシというセミの鳴き声です。ヒグラシ(日暮らし)の名前通り、一日の終わりを感じさせる、なんともノスタルジックな鳴き声。聴いたことのある人も多いのではないでしょうか? でも実は、ヒグラシは早朝にも鳴いているのです。この夏は、ぜひ夕に朝に、ヒグラシの声に耳を傾けてみてください。
 絵本の文章を手がけるのは『だんごむしの おうち』『どんぐりころころむし』など多数の科学絵本の書き手として知られる澤口たまみさんです。「幼いころに聴いたヒグラシの声は、私の一生の宝物です」と澤口さん。その「宝物」を静謐な文章にのせて届けてくれました。
 絵を担当するのは、『せみのぬけがら』(「ちいさなかがくのとも」2020年8月号)でダイナミックな抜け殻をたくさん描いた城芽ハヤトさん。今回は抜け殻ではなく中身(=ヒグラシの成虫)や、ヒグラシの鳴く風景も美しく表現しています。

作者情報


澤口たまみ(さわぐちたまみ)


岩手県生まれ。岩手大学農学部で応用昆虫学を専攻、修士課程修了。盛岡大学短期大学部幼児教育科准教授。著書に『自然をこんなふうに見てごらん 宮澤賢治のことば』(山と渓谷社)、『虫のつぶやき聞こえたよ』(白水社)、絵本に『だんごむしの おうち』『どんぐりころころむし』『わたしのあかちゃん』『はるのにわで』『いろんな いきもの かぞくのカタチ』(以上、福音館書店)など。「ちいさなかがくのとも」に、『とんぼ とんぼ あかとんぼ』『あまがえる、のはらへ』『ようこそ ぼくの てのひらへ』『たんぼに あおぞら みーつけた!』『つっぴーちゅるる』『ふきの はのうえに』『みちては ひいて』『しも』などがある。岩手県在住。

城芽ハヤト(じょうめはやと)


秋田県生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。TIS会員。第42回講談社出版文化賞さしえ賞受賞。絵本に『つくもがみ』『クヌギがいる』(岩崎書店)、『ブナの絵本』(農山漁村文化協会)など。「ちいさなかがくのとも」は『うめのみとり』『かたゆき』『あかい み みつけた』『しーっ あれは なんの おと?』『やまの ゆき みてたらね』『せみのぬけがら』に続いて7作目。東京都在住。

書誌情報


読んであげるなら:3才から
自分で読むなら:―
定価:460円(税込)
ページ数:24ページ
サイズ:23×20cm
初版年月日:2024年8月01日
通巻:ちいさなかがくのとも 269号