作者


多田多恵子 ぶん 江口あけみ え 写真

内容紹介


鳥に種を運んでもらいたい植物の赤くて丸くて小さな実のお話。

ノイバラ、ナナカマドなど、冬に赤い実をつける植物がたくさんあります。植物は鳥に種を運んでもらいたくて、鳥の目にめだつ赤い色で鳥を誘っているのです。鳥がのみこみやすいように、丸くてつるんとした小さな実をつけますが、おいしいとは限りません。毒のあるものもあります。なぜでしょう?「食べてもらいたい。でも、ちょっとだけ」植物の作戦を考察します。

作者情報


多田多恵子

東京都生まれ。東京大学大学院博士課程修了。理学博士。専門は植物生態学。著書に『旅するタネの図鑑』(文一総合出版)、『旅するタネたち』『美しき小さな雑草の花図鑑』(山と溪谷社)、『したたかな植物たち 春夏篇・秋冬篇』(ちくま文庫)、『びっくりまつぼっくり』『ハートの はっぱ かたばみ』(福音館書店)など多数。

江口あけみ

長野県生まれ。趣味は散歩と自然観察。水彩画、アクリル画、銅版画を国内外で発表。主な挿絵の仕事に『こども博物誌 植物とくらす』(多摩川大学出版部)『旅するタネたち』(山と溪谷社)他。日本豆本協会会員。

担当編集者 より

 

 多田多恵子さんとの絵本作りは毎回取材がとても楽しいです。
ノイバラの実を食べるジョウビタキを見ていたときのこと、近くの木の枝に飛び移って口をあけたと思ったら、ぺっとタネをはきだしました。「わあ!」と心のなかで歓声をあげ、ジョウビタキが飛び去ったあと、画家の江口あけみさんと3人で鳥のいた枝の下をはいつくばり……はきだされた小さなタネをゲット! まぎれもなくノイバラのタネで、3人で感激しました。
 ヒヨドリのフンもたくさん拾いました。江口さんはヒヨドリのフンに入っていたノイバラのタネを持ち帰り、ご自宅でまいて育てて観察、それを絵にしてくださいました。P.10の絵です。
 冬の取材のときに拾わずに残しておいたヒヨドリのフンを春にもういちど見に行くと、ノイバラが何本もかたまって芽生えていました。こうやってふえていくのだなあと実感。今頃はどのくらい大きく育っているかしら?

書誌情報


読んであげるなら:5・6才から
自分で読むなら:―
定価:460円(税込)
ページ数:28ページ
サイズ:25×23cm
初版年月日:2026年1月01日
通巻:かがくのとも 682号