作者


木坂涼 文/川上和生

内容紹介


秋の空に、赤とんぼがいっぱい。

昨日は一匹もいなかったのに、どこからやってきたんだろう? 

気持ちよさそうに飛ぶとんぼたちを見ていると、彼らの来し方へ想像が膨らんでいきます。

杭にとまって休んだり、雨宿りをしたり、とんぼたちは色々な姿を見せてくれます。

群れ飛ぶ赤とんぼたちと一緒に、秋の一日を過ごしているような気持ちになれる絵本です。

編集担当者 より


この絵本に描かれているのは、アキアカネという代表的な赤とんぼです。

田んぼで生まれ、ヤゴから成虫になったアキアカネは、暑くなると山へ移動し、夏中涼しい場所で過ごします。そうして秋風が吹く頃、真っ赤に成熟して、産卵のために一斉に平地へ戻ってくるのです。

このアキアカネの旅を4歳前後の子どもたちに届けるために、詩人の木坂涼さんは、“どこからやってきたかを想像する”という切り口を用意してくださいました。

実際にその旅路をまるごと追うのは難しくても、とんぼたちがどこかを目指して移動していくこと、その姿を見つめながら想像を膨らませる楽しさは、きっと子どもたちと分かち合えるはずです。

絵を担当してくださったのは、イラストレーターの川上和生さんです。

「僕は虫屋ではない」とおっしゃる川上さんですが、取材時には、本物のとんぼの美しさに驚きながら熱心に観察してくださいました。

はねの模様のひとつひとつまで丁寧に描かれた美しいとんぼたちを、ぜひご覧ください。

数が減ったと言われるアキアカネですが、町の中でもすれ違える身近な虫です。

絵本に描かれているような、真っ赤な赤とんぼたちが群れ飛ぶ美しい光景に、子どもたちが出会えますように。

作者情報


木坂涼(きさかりょう)


1958年、埼玉県生まれ。詩人。詩集に『木坂涼詩集』(思潮社)ほか。絵本に『からだのなかで ドゥン ドゥン ドゥン』『かげは どこ』、翻訳絵本に『エマのたび』『パリのエマ』(以上、福音館書店)など。「ちいさなかがくのとも」に『わたしも かぜに なれるのよ』(通巻185号)などがある。

川上和生(かわかみかずお)


1959年、北海道生まれ。北海道デザイナー学院卒業。デザイン会社勤務を経て独立。雑誌、企業PR誌、本の装丁、広告など広く活躍。絵本に『山のごちそう どんぐりの木』(理論社)、『やまなし』(ミキハウス)、『ながいながい骨の旅』(講談社、2019年度児童福祉文化賞受賞)などがある。TIS会員。

書誌情報


読んであげるなら:3才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:24ページ
サイズ:23×20cm
初版年月日:2020年09月01日
通巻:ちいさなかがくのとも 222号