作者
山村浩二 作
内容紹介
ケイサイさんは、動物や鳥、虫など、なんでも本物そっくりに生き生きと描く絵師です。
絵を描くときはいつも、対象物をじっと見つめます。
見つめるあまり、自分が対象物そのものになった気持ちになるほどです。
そんなケイサイさんは、あるとき、不思議な夢を見ました。
江戸時代に活躍した絵師 鍬形蕙斎(くわがた けいさい)をモチーフにした創作物語です。
担当編集者 より
本作ができるきっかけのひとつは、作者の山村浩二さんがフランスの古書店で偶然出会った『略画式』です。
『略画式』とは、江戸時代に活躍した絵師 鍬形蕙斎(くわがた けいさい)による絵手本。そこに描かれた生き物たちに魅了された山村さんは、それらを何枚も模写したそうです。
絵本のなかでケイサイさんが対象物になりきって絵を描くように、山村さんが蕙斎(けいさい)になりきって描いて出来上がったのが本作です。
物語の軸になるのは「夢」。
以前から山村さんが興味をもっていた、古代の人々の夢の意識、共同体での夢の役割などを、ケイサイさんの体験に絡めた創作物語です。
子どもは3歳ころから、自分が見た夢について人に話し始めるといわれています。
ケイサイさんがタカの夢を見たあとに
「あのタカは、おれのことを おもっていたのだな」
とつぶやいたように、例えば
「夢におばあちゃんが出てきたよ」
というお子さんに
「おばあちゃんが想ってくれてるからかもね」
なんて返せたら、世界がちょっと広がる気がしませんか。
ことばでは表現しきれない不思議な感覚のようなものを、幼い心にひとすじ残すことができたらうれしいです。
作者情報
山村浩二(やまむらこうじ)
1964年生まれ。「頭山」がアヌシー、ザグレブをはじめ世界の主要なアニメーション映画祭で6つのグランプリを受賞、第75回アカデミー賞、短編アニメーション部門にノミネート。他に「カフカ 田舎医者」「パクシ」など。絵本に『くだものだもの』『おやおや、おやさい』(福音館書店)『ぱれーど』(講談社)など。2017年、NHK「おかあさんといっしょ」エンディング曲「べるがなる」の作詞を手がける。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。紫綬褒章受章。米国アカデミー賞会員。東京藝術大学教授。
書誌情報
読んであげるなら | :5・6才から |
自分で読むなら | :― |
定価 | :440円(税込) |
ページ数 | :32ページ |
サイズ | :26×19cm |
初版年月日 | :2021年02月01日 |
通巻 | :こどものとも779号 |