作者
内容紹介
ふきの葉の上に、あまがえるが1匹。
居心地のよいふきの葉っぱを探しますが、あいにくどの葉っぱにも先客が。
自分の落ち着ける場所を求めて、葉から葉へ渡っていきます。
柔らかな木漏れ日が差す五月の林と、そこで暮らす小さな生きものたちの姿を、澤口たまみ氏のみずみずしい文章と、磯部光太郎氏の美しい日本画で絵巻風に描きます。
編集担当者 より
お皿のように丸くて平らなふきの葉っぱ。
木より低く、地面より高いところに広がるふきの葉には、木から落ちた花殻、下から登ってくるカナヘビ、翅を休めるチョウなど、色々なものが乗ります。
柔らかな日の光が差してくると、そこはまるでスポットライトを受けた舞台のよう。
この美しいふきの葉の上の世界を子どもたちに届けたいと、エッセイストの澤口たまみさんが、アマガエルを主人公にした楽しいお話を作ってくださいました。
絵を描かれたのは、以前にも『あまがえる、のはらへ』(「ちいさなかがくのとも」2016年6月号)で澤口さんとタッグを組まれた日本画家の磯部光太郎さんです。
取材では、岩手県紫波郡の澤口さんのフィールドにお邪魔し、初夏の林を訪れました。
葉っぱの上でちらちらと踊る木漏れ日をご覧になった磯部さんは、日本画らしい手法でふきの葉に光をあてたいと、ふきの葉っぱや木漏れ日は水墨で表現し、子どもたちが心惹かれる小さな生きものたちには色をつける方法を考え出してくださいました。
いつもの「ちいさなかがくのとも」とは少し趣が異なり、縦書き、右開きの絵巻物のようなこの絵本。
ちょっと変わった見た目でも、ほかの「ちいさなかがくのとも」と同じように、身近な自然と、小さな生きものたちをこよなく愛するお二人の手で、その魅力がいっぱいに詰め込まれた絵本です。
ぜひ、何度も何度も楽しんでください。
作者情報
澤口たまみ(さわぐちたまみ)
岩手県生まれ。岩手大学農学部で応用昆虫学を専攻、修士課程修了。著書に『虫のつぶやき聞こえたよ』(白水社)、絵本に『だんごむしの おうち』(絵・たしろ ちさと)『いもむしってね…』『わたしのこねこ』(ともに絵・あずみ虫/以上、福音館書店)など。「ちいさなかがくのとも」で手がけた絵本に、『あめだ あめだ くわっ くわっ くわっ』『すういの とん くにゃり』『はい! うさぎです』『くり くり くりひろい』『とんぼ とんぼ あかとんぼ』『あまがえる、のはらへ』『ようこそ ぼくの てのひらへ』『たんぼに あおぞら みーつけた!』『どんぐりころころむし』『つっぴーちゅるる』がある。岩手県在住。
磯部光太郎(いそべこうたろう)
東京都生まれ。東京藝術大学大学院修士課程美術研究科日本画専攻修了。身近な自然と、そこに暮らす小さな生きものたちの姿を、日本画の古典的な技法を取り入れて描く。百貨店や画廊での個展、グループ展を中心に活動。『あまがえる、のはらへ』(文・澤口たまみ/「ちいさなかがくのとも」2016年6月号)に続き、今回が2作目の絵本となる。神奈川県在住。
書誌情報
読んであげるなら | :3才から |
自分で読むなら | :― |
定価 | :440円(税込) |
ページ数 | :24ページ |
サイズ | :20×23cm |
初版年月日 | :2021年05月01日 |
通巻 | :ちいさなかがくのとも 230号 |