作者
鍋田敬子 作
内容紹介
電車に乗って、おじいちゃんの住む“かみのむら”へ行くことになったこうすけ。
電車に揺られているうちに、外には見たこともない景色が広がって、ふと気がつくと、乗客はみんなきつねになっていました。
こうすけが迷い込んだのは、きつねの暮らす街“いなりまち”だったのです。
ちょっぴり不思議で、心温まるファンタジー。

担当編集者 より
鍋田さんが子どものころ、ご両親は香川県高松市の瓦町(かわらまち)でうどん屋を営んでいて、店が忙しい日には、瓦町から5キロほど離れた上ノ村(かみのむら)にある母方の実家に、よく預けられていたそうです。
鍋田さんは、瓦町から「かみのむら」まで、一人でバスに乗って行っていたそうです。
所要時間は、およそ35分(ちなみに、この絵本でも、こうすけが駅の改札を抜けてからおじいちゃんのところに着くまでに、35分、時計の針が進んでいます)。
大人にとってはたった35分でも、子ども時代の鍋田さんにとっては、途方もなく長く感じられたといいます。
永遠とも思えたその35分のなかに、鍋田さんは「いなりまち」を空想し、このお話を作りました。
いなりまちの絵は、旅行で訪れた愛媛県松山市の道後温泉の夜のライトアップの様子がもとになっているそうです。
現代の子どもたちにとって、ひとりで電車に乗るというのは、まだまだ縁遠いことかもしれませんが、ぜひこうすけに心を重ねて、絵本のなかでドキドキの電車旅を味わってもらえたらと思います。
そして、いなりまちでのひとときが、子どもたちにとっていつまでも心に残るような体験になれば、嬉しいです。
作者情報
鍋田敬子(なべたけいこ)
1956年、香川県生まれ。九州産業大学芸術学部美術学科卒業。絵本に『はだかんぼうは つれていかないよ』(「こどものとも年中向き」2007年9月号)『なっちゃんが ちっちゃかったころの おはなし』(「同」2012年4月号)『ええこと おもいついた なっちゃん』(「同」2015年7月号)『ねこのごろんた』(「同」2018年7月号)『こいぬのこたろう』(「こどものとも」2020年4月号)『うどんやの たあちゃん』(こどものとも絵本)。千葉県柏市在住。
書誌情報
読んであげるなら | :5・6才から |
自分で読むなら | :― |
定価 | :440円(税込) |
ページ数 | :32ページ |
サイズ | :26×19cm |
初版年月日 | :2021年10月01日 |
通巻 | :こどものとも 787号 |