作者
内容紹介
私たちが見るホタルの光は、1億年以上にわたりホタルが命をつないできた途方もなく長い時間の流れのなかの一瞬の輝きです。
人類が生まれたのは、ほんの20万年前のこと。
ホタルや多くの生きものたちが、これほど長い時間、どうして種をつないでくることができたのか。
自然のなかに流れる「動的平衡」を通して描いた作品です。
担当編集者 より
本作で文章を担当した生物学者の福岡伸一さんの研究や著作の大きなテーマは「動的平衡」です。
それは、様々な要素が相互に作用し変化しながら、バランスのとれた一定の状態を保つという生命のありようを表す言葉です。
この絵本では、子どもに向けて2つの側面から動的平衡が描かれています。
ひとつは、ホタルのすむ環境のなかの動的平衡です。ホタルの幼虫の食べる貝類、貝類が育つための藻、藻を育てる酸素や養分、幼虫が羽化する土手・・・・・・微妙なバランスが成立してはじめて、ホタルが生息することが可能になります。
ふたつめは、大きな時間の流れのなかの自然の動的平衡です。一度失われたホタルのすむ小川が、自然の力だけでどのように戻るのか、壮大な時間の流れともに描いています。
絵を担当したのは、漫画家の五十嵐大介さん。ホタルのすむ小さな川にひろがる世界から、私たちが見ることのない未来の世界まで、福岡さんが書く動的平衡にたゆまず流れる自然の力と悠久の時間を美しく描いてくださっています。
作者情報
福岡伸一(ふくおかしんいち)
1959年東京生まれ。生物学者。京都大学卒業。青山学院大学教授・米国NYロックフェラー大学客員研究者。著書は『生物と無生物のあいだ』(講談社)、『動的平衡』シリーズ(小学館)『迷走生活の方法』(文藝春秋)など多数。最新刊に『行く川の流れは、動的平衡』、冒険小説「新ドリトル先生物語」(朝日新聞出版)がある。画家ハンス・フェルメールの大のファン。著書に『フェルメール 光の王国』もある。
五十嵐大介(いがらしだいすけ)
1969年生まれ。漫画家。1993年、「月刊アフタヌーン」(講談社)にて四季大賞を受賞し、デビュー。主な漫画作品として、『魔女』(文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞/小学館)『海獣の子供』(日本漫画家協会賞優秀賞/小学館)、『リトルフォレスト』(講談社)などがある。「たくさんのふしぎ」では、『馬と生きる』(澄川嘉彦・文/通巻416号)の絵を担当している。
書誌情報
読んであげるなら | :― |
自分で読むなら | :小学中学年から |
定価 | :770円(税込) |
ページ数 | :40ページ |
サイズ | :25×20cm |
初版年月日 | :2022年07月01日 |
通巻 | :たくさんのふしぎ 448号 |