作者


ねじめ正一 文/淺井裕介

内容紹介


ワニが眠っていると、遠くで花火の音がする。

それを聞いて、ワニは思わず走り出す。

すると河原で花火屋さんに出会って……。

この絵本は「ワニみてる じっとみている おおはなび」「はなびやさん ワニがこわくて にげてゆく」など、全ページが五七五の17文字だけで書かれています。

声に出して心地よく、耳で聞いて楽しい、俳句のリズムをたっぷり味わえる一冊。

担当編集者 より


作者のねじめ正一さんは、以前からワニの登場する俳句をいくつも詠んでいます。

冒頭の「ワニみてる じっとみている なつのほし」も、これだけを切り取って俳句として味わうことができそうです。

俳句は一つの情景を描くことを得意とするジャンルですが、この絵本ではそれをいくつも連ねることで、まるで静止した絵の連続がパラパラ漫画になるように、じっとしていたワニが勢いよく動き出します。

この勢い溢れるワニを個性豊かに描いたのは、画家の淺井裕介さん。

本作では絵の具を使用していますが、普段の創作では土などを画材にした、自然と地続きの作品を多く発表しています。

ワニの体に浮かび上がる模様や、文字通り「花」を含んだ花火も、あたかも繁茂する植物のよう。

短い言葉と、対照的に密度の高い絵の競演をお楽しみください。

作者情報


ねじめ正一(ねじめしょういち)


1948年、東京都生まれ。詩集『ふ』(櫓人出版会)でH氏賞、小説『高円寺純情商店街』(新潮社)で直木賞、『荒地の恋』(文藝春秋)で中央公論文芸賞を受賞。子ども向けの作品に『ずんずんばたばたおるすばん』『ゆかしたのワニ』(ともに福音館書店)『えほん あいうえおにぎり』(偕成社)など多数。

淺井裕介(あさいゆうすけ)


1981年、東京都生まれ、画家。土、埃、小麦粉、マスキングテープなど身近なものを画材として国内外の展覧会やアートプロジェクトで大規模に制作を展開する。受賞歴にVOCA 2009展 大原美術館賞、タカシマヤ美術賞など。作品集に『この場所でつくる』(求龍堂)がある。絵本は本作が初めて。

書誌情報


読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:28ページ
サイズ:26×19cm
初版年月日:2022年08月01日
通巻:こどものとも年中向き 437号