日本はアジアの一部。
たくさんのアジアの国々と関わりあっています。
また、今は園のなかにも、多様なルーツを持つ子どもたちが増えています。
アジアのさまざまな国やそこに住む人びとのことを知るには、
お話を通じてその国の文化に親しむことが第一歩です。
中国、朝鮮半島、タイ、インド、スリランカ、モンゴル、イラン、ウイグル、中央アジア……。
アジア各国・地域の昔話や、その国の絵本作家によるお話を、
幅広く集めて10冊のセットにしました。
日本とは異なる独特のお話や絵のスタイルを、
ぜひ、園の子どもたちとともにお楽しみください。
こどものともひろば 運営係
※こちらのセットは、一般の書店では販売しておりません。園への販売限定企画です。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
「こどものとも アジアのおはなし10冊セット」」
内容のご紹介
- 『いつもいっしょ どうぶつとくらす アジアのこどもたち』
- 『ウーペンせんと ろうがんきょう』
- 『さばくのジン』
- 『サンタルのもりの おおきなき』
- 『センジの あたらしい いえ』
- 『そらを みあげる チャバーちゃん』
- 『トッケビと どんぐりムク 朝鮮半島の昔話』
- 『ノホディと かいぶつ イランの昔話』
- 『はじめてのハミウリうり』
- 『まほうのひょうたん』
- ※セット情報(書誌情報)
『いつも いっしょ どうぶつとくらす アジアのこどもたち』
車光照ほか 写真/松岡享子 文
初版年月日:1994/2/1
羊を抱く子ども、子ブタに餌をやる子ども、ヤギを草場につれていく子ども、頭のシラミをサルに取ってもらう子ども、ゾウの鼻にぶらさがる子ども、水牛に乗る子ども……。
中国、ベトナム、バングラデシュ、パキスタン、モンゴル、インド、タイといったアジア各国で、動物たちと暮らす子どもたちの生活をいきいきと写した写真絵本です。
松岡享子さんがつむいだ、親しみやすい文とともに構成しています。
国が違えば暮らしも違い、ともに暮らす動物の種類も違います。
でも親しみを込めて動物たちと関わる姿は変わりません。
子どもたちと動物の愛情たっぷりでユーモラスな姿に、読んでもらう子どもたちもおもわず顔がほころんでくることでしょう。
『ウーペンせんと ろうがんきょう』
朱彦潼 作
初版年月日:2019/2/1
ある日、都会に住むランランの元に、おばあちゃんが訪ねてきました。
田舎へ遊びに行くランランを迎えに来てくれたのです。
二人はウーペン船と呼ばれる小型船に乗って、川沿いのおばあちゃんの家を目指します。
バッグには、おじいちゃんのために買った老眼鏡をしまって。
ところが、途中で船が揺れて、大事な老眼鏡を川に落としてしまいます……。
作者の朱彦潼さんは、日本への留学経験もある中国のアニメーション作家。
ユーモラスで魅力的な人物とていねいな情景描写で描かれる少し不思議なお話です。
主人公のモデルは朱さんのお母さん。
お母さんが子どものころ、おばあちゃん(朱さんのひいおばあさん)の住む田舎まで船で訪ねたという経験が、物語の元になっています。
舞台となっている江南地方の水郷は風光明媚な土地として知られ、その風景描写も見どころの一つです。
新進気鋭のアニメーション作家が描く、中国を舞台とした水上の旅。いっしょに旅をしているような気分でお楽しみください。
『さばくのジン』
新藤悦子 文/荒木郁代 絵
初版年月日:2017/3/1
少年シヤーは、家族といっしょにらくだのキャラバンで、町から町へ砂漠を旅しています。
そして夜になると、砂漠の魔物ジンからキャラバンを守るという弦楽器、ケマンチェを母さんに習っています。
あるとき、町に残る母さんからケマンチェを託されて旅に出ますが、途中で砂嵐とともにおそろしい魔物ジンが現れます。
シヤーはジンを鎮めようとケマンチェの弓を握りますが……。
トルコなど中近東の文化に詳しい新藤悦子さんの文章と、西アジアの細密画を描いている画家・荒木郁代さんの絵による、中央アジアの砂漠が舞台のお話です。
魔物のジンは、イスラム世界で信じられている目に見えない精霊で、今も、砂漠に暮らす人々の間で畏れられています。
荒木さんが、極細の筆で毛の1本1本まで描いているジンは、とても恐ろしい姿ですが、カラフルな布を身にまとい、どこかユーモラスでもあります。
服装も文化もまったく日本とは異なる中央アジア独特のお話の世界を、たっぷりお楽しみください。
『サンタルのもりの おおきなき』
西岡直樹 構成・文/シブー・チットロコル 絵/西岡まどか コラージュ
初版年月日:2014/11/1
サンタルの森に、生き物たちのいこいの場になっている大きな木がありました。
ある日、王様の命令でその木が切られてしまいます。
悲しんだ生き物たちは森を去ってしまいました。
ふたりの男の子トヌとカヌは、残された木の枝で太鼓と笛を作り、音楽を奏で始めます。
すると、その音を聞きつけた動物たちが再び集まってきて……。
インドの絵巻物師チットロコルさんが描いた、素朴ながらも、動物たちの息づかいが伝わってくる、生き生きとした絵の数々。
それらの絵をもとに、インドで民話の収集などをしてきた西岡直樹さんが、文と構成を手掛け、長い年月をかけて一冊の絵本が生まれました。
インドの絵師が描く、たくさんの生き物や人の姿。原初のパワー溢れる不思議な世界をお楽しみください。
『センジの あたらしい いえ』
イチンノロブ・ガンバートル 文/津田紀子 訳/バーサンスレン・ボロルマー 絵
初版年月日:2011/11/1
センジは家族と一緒にあたらしい家に引っ越しました。
自分の部屋に入ってみると、暗くて壁も汚くてがっかり。
おまけにまわりに遊ぶ友だちもいない。
センジはすっかりふて腐れて自分の部屋のベッドに寝ころびます。
すると、部屋の壁の中から、次々とふしぎな生きものが飛びだしてきました。
センジは、そのふしぎな生きものたちと自転車で競争をしてすっかり仲良くなりました。
でも、突然、お父さんが壁にペンキを塗ると言いだします。
センジは、ペンキを塗ったらふしぎな生きものたちが壁から出られなくなるのではと心配しますが……。
天井や壁の木目模様が、顔に見えたり、生きものの形に見えたりしたことってありませんか?
作者のガンバートルさんもそういう経験をして、そこから生まれたお話に、ボロルマーさんがすてきな絵をつけています。
なにより登場するふしぎな生き物たちがユーモラスで親しみがあって、子どもたちも友だちになりたいと思うことでしょう。
ガンバートルさんとボロルマーさんはモンゴル出身のご夫妻で、お話の舞台もモンゴルです。
家のたたずまいや食卓の様子からモンゴルの生活ぶりも味わえます。
『そらを みあげる チャバーちゃん』
ジェーン・ウェーチャチーワ 作/小林真里奈 訳/ウィスット・ポンニミット 絵
初版年月日:2013/7/1
チャバーちゃんは雲を見るのが大好きな女の子。
家の前を通るおとなたちに、一緒に見ようよと呼びかけますが、忙しいおとなたちは誰も応じてくれません。
それでもひとり空をずっと見上げていると、仕事から戻ってきたおとなたちが話しかけてきました。そして……。
タイの人気作家と画家による絵本です。
作者のジェーンさんがこの物語を考えていた時、バンコクは大規模デモのただ中でした。
そんな騒乱のさなかに作られたこの物語には、ゆったりと流れる“子どもの時間”の豊かさ、大切さが込められているように思えます。
絵本を読んでいるひと時が、子どもにとってはもちろん、おとなにとってもゆったりと豊かな時間でありますように。
『トッケビと どんぐりムク 朝鮮半島の昔話』
イ・サンギョ 再話/おおたけきよみ 訳/ナ・ヒョンジョン 絵
初版年月日:2015/12/1
働きものの貧しい若者が、おかあさん手製のどんぐりムクを市場へ売りにいきますが、さっぱり売れません。
しょんぼり家に帰る途中、おそろしいと言われるおばけのトッケビが突然現れ、若者のどんぐりムクをすべて食べてしまいます。
若者が困っていると、トッケビたちはからになった入れ物をお金でいっぱいにしてくれました。
日本にとって、いちばん身近な外国のひとつが韓国です。そんな場所の愉快な昔話を日本の子どもたちにも楽しんでもらいたい、そんな思いから、企画された作品です。
韓国を代表する児童文学作家、イ・サンギョさんが、トッケビの登場するたくさんの昔話のなかから、とびきりユーモラスな今回のお話を選んでくれました。
そして、そのトッケビを愉快で、韓国らしい造形で描いてくれたのは、若手で活躍中のナ・ヒョンジョンさん。
この絵本と出会った子どもたちが、隣の国にも自分の国と同じようにおもしろいお話があり、そこで生活している人たちがいる、ということを知って、隣国を思ってくれればと願っています。
『ノホディと かいぶつ』
愛甲恵子 再話/ナルゲス・モハンマディ 絵
初版年月日:2018/9/1
ある日、おかみさんが豆のスープを作っていると、豆がひとつぶこぼれ落ち、小さな女の子に変わりました。
豆のように小さなノホディですが、とても勇敢。
近所の娘たちと一緒に落ち穂拾いにいった帰り道、森の中で、大きな怪物に出くわしますが、ノホディは、全然怖がらず、機転を利かせ怪物をやり込めます。
痛快なイランの昔話をイラン人画家の絵でお楽しみください。
イランについてのニュースを聞くことはあっても、イランの暮らしについては、あまり知られていないのが今の日本の現状ではないでしょうか。
一寸法師の女の子版のようなこのお話、とにかく痛快です。
昔話にはその国の文化が息づいていますから、おはなしを通して、イラン的なものを感じられるでしょうし、絵を見れば、暮らしぶりを垣間見ることもできます。
出てくる様々な食べ物の味も想像しながら、楽しんでください。
絵を描いてくれたのは、イランで注目のイラストレーターのナルゲス・モハンマディさん。
数々の国際的なコンクールで賞をとられていますが、ブラティスラヴァ世界絵本原画展コンクールでも金のりんご賞を受賞されています。
おおらかでチャーミングな絵をどうぞお楽しみください。
『はじめてのハミウリうり』
日紫喜洋子 作
初版年月日:2008/10/1
砂漠の真ん中の村にあるサンの家では、ハミウリという果物を作っています。
サンが、初めてお父さんと一緒に、ハミウリを売りに町の市場に行った日、びっくりするような出来事に出会います。
作者自身の砂漠の旅での体験が、少年の目を通して語られ、厳しい環境の中でたくましく生きていく人びとの姿が、力強い木版画で描かれます。
作者の日紫喜さんが学生時代に旅をした、中国西部の新疆ウイグル自治区での体験をストレートに描いた作品です。
原画は墨と薄墨二色の木版画。現地で描いた鉛筆スケッチに込められた気持ちを、色で飾ることなくそのまま表現するためと、小さい画面でも木を彫るという行為で力強い線を描くためです。
絵本としては地味な表現方法ですが、それを補って余りある、迫力、力強さが表現されています。
ニュースの中で聞くことが多い「新疆ウイグル」という土地の名前ですが、そこには人々の暮らしがあります。その営みが子どもたちの心に残ることを願っています。
『まほうのひょうたん スリランカの昔話』
シビル・ウェッタシンハ 再話・絵/松岡享子 訳
初版年月日:2015/1/1
ある日、お百姓さんのおかみさんが病気になってしまったので、病気が治るように悪魔ばらいの儀式をすることになりました。
太鼓を叩き、踊りを踊っていると、すさまじい洪水になったので、みんなで大きくなったり、小さくなったりするまほうのひょうたんの中に避難します。
そのひょうたんはどんどん小さくなり、水に流されて海に出て、魚に食べられてしまいます。
さらに魚は、鳥に食べられ、鳥は猟師に捕まえられてしまいます。それから……
昔話ならではの展開が楽しい絵本。
シビル・ウェッタシンハさんは、『きつねのホイティ』や『ふしぎな銀の木』でも松岡享子さんとタッグを組んで素晴らしい絵本を描いてくださっているスリランカを代表する絵本作家です。
シビルさんは2020年、松岡さんは2022年に亡くなられましたが、お二人が遺してくれた絵本はこれからも子どもたちを楽しませてくれることでしょう。
書誌情報(セット)
読んであげるなら | :4歳から |
自分で読むなら | :小学低学年から |
定価 | :10冊セット定価9,900円(本体9,000円) |
ページ数 | :各32ページ |
セットボックスサイズ | :28×21cm |
初版年月日 | :2023年1月5日 |
シリーズ | :― |
ご理解のほど、よろしくお願いいたします。