2026年に創刊70周年を迎える月刊絵本「こどものとも」では、日本のみならず世界各地のさまざまな昔話を絵本でお届けしてきました。


今回、そのなかから15冊を復刊してお届けします。


世界各地の豊かな文化に触れつつ、個性的でおもしろい昔話の世界をお楽しみください。

4月1日の刊行に合わせて、15作品それぞれの魅力を毎日更新でお伝えいたします。

こどものともひろば 運営係


『マリアとコンドル』

稲村哲也 再話/ハイメ・ロサン、ヘオルヒーナ・デ・ロサン 絵

「世界昔ばなしの旅」8つ目の作品は、ペルーの昔話「マリアとコンドル」。

アンデス山脈の高地に暮らす、インカの末裔・ケチュア族に伝わる民話です。

おはなしの舞台


マリアが草原でリャマの番をしていると、黒い服と白いマフラーのりりしい若者が現れて、いっしょに遊ぼうといいます。

言われるがまま若者の背中につかまって目を閉じると、マリアはいつのまにか高い崖の上に運ばれていて、若者はコンドルになっていました。

コンドルはマリアにお嫁さんになれといいます。

悲しみにくれたマリアでしたが、なんとかコンドルを誤魔化して崖下に降り、知恵のあるカエルやハチドリの助けを得て、ようやく家に帰ることができました。

しかしそこへ、マリアを追ってコンドルが再び現れます。

アンデスの民話をペルー人の画家が描きます。

稲村哲也(いなむらてつや)


静岡県生まれ。東京大学大学院博士課程(文化人類学専攻)修了。野外民族博物館リトルワールド(愛知県犬山市)研究員、愛知県立大学文学部教授などを歴任。ラテンアメリカの先住民(特にアンデス高地のケチュア族)の他、ネパール山岳民族、モンゴル遊牧民などの調査・研究に従事。絵本の再話に『あくまのおよめさん』(共訳)『しろいむすめマニ』、著書に『アンデスのリャマ飼い』(以上、福音館書店)、『リャマとアルパカ―アンデスの先住民社会と牧畜文化』(花伝社)、『ヒマラヤの環境誌』(共編著、八坂書房)などがある。

ハイメ・ロサン


ペルー・クスコ市生まれ。リマ市の美術大学を卒業。1937年から1978年までペルー文化庁に所属し、リマ市大聖堂の宗教画などの文化財の修復に従事。1988年に来日し約1年間野外民族博物館リトルワールドでペルーのアシエンダ(大農園)邸宅の壁画制作に従事した。

ヘオルヒーナ・デ・ロサン


ペルー・クスコ市生まれ。リマ市の美術大学を卒業。文化庁・ユネスコ奨学金により専科(修復技術)修了。ハイメ・ロサンと結婚。ルーベンス、レンブラントなど多くの絵画修復を手がける。1988年に夫と主に来日、野外民族博物館リトルワールドで壁画制作に従事した。

書誌情報(セット)


読んであげるなら:4歳から
自分で読むなら:小学低学年から
定価:15冊セット定価16,500円(本体15,000円)
ページ数:各32ページ
表紙サイズ:各20×27cm
初版年月日:2024年4月1日
シリーズ:―