2026年に創刊70周年を迎える月刊絵本「こどものとも」では、日本のみならず世界各地のさまざまな昔話を絵本でお届けしてきました。


今回、そのなかから15冊を復刊してお届けします。


世界各地の豊かな文化に触れつつ、個性的でおもしろい昔話の世界をお楽しみください。

4月1日の刊行に合わせて、15作品それぞれの魅力を毎日更新でお伝えいたします。

こどものともひろば 運営係


『ちいさなりょうし タギカーク』

ウラジーミル・グロツェル、ゲンナージー・スネギリョフ 再話/松谷さやか 訳/高頭祥八 画

「世界昔ばなしの旅」9つ目の作品は、アジア・エスキモーの昔話「ちいさなりょうし タギカーク」。

寒さの厳しいツンドラ地帯で自然と闘いながら生きてきた人々に伝わるお話です。

おはなしの舞台


お母さんとふたりで暮らす少年タギカークは、舟も銛もないので、昆布を採って暮らしていました。ある日、海に落ちたタギカークは、海の底で死んだお父さんに出会い、銛をもらいます。

タギカークは、その銛をもって漁師たちの舟に乗せてもらおうとしますが、みんなばかにして乗せてくれません。ただ一人乗せてくれた老人とともに、タギカークは大きなクジラを仕留めました。

このお話は、旧ソ連の東北端にあるチュコト半島に住むアジア・エスキモーの人々のあいだに伝わる昔話です。海獣の猟にかけては彼らほど腕のいい漁師はいないと言われ、獲物が捕れるとお祭りを開いて順番に昔話を語ったそうです。

古くから語り継がれてきた少年タギカークのお話を、ぜひお楽しみください。

ウラジーミル・グロツェル


ロシアの児童文学者。評論のほか、ゲンナ-ジー・スネギリョフとともに、アジア・エスキモー、チュクチなど少数民族の昔話を再話し、紹介した。

ゲンナージー・スネギリョフ


ロシアの児童文学者。創作のほか、ウラジーミル・グロツェルとともに、アジア・エスキモー、チュクチなど少数民族の昔話を再話し、紹介した。

松谷さやか(まつやさやか)


1937年、東京都生まれ。早稲田大学大学院露文科修士課程修了。児童図書の編集を経て、ロシアの児童文学の翻訳を始める。訳書に『こねずみとえんぴつ』『野ばと村の長ぐつぼうや』『北の森の十二か月(下巻)』『森からのてがみ(全3巻)』『なぞなぞ100このほん』『かものむすめ』(以上、福音館書店)、『父へのひとり旅』(理論社)、『かえるの王女』(ほるぷ出版)、『笛ふきイワーヌシカ』(偕成社)、創作に『はりねずみ かあさん』(福音館書店)などがある。東京都在住。

高頭祥八(たかとうしょうはち)


1931年、群馬県生まれ。諸外国での展覧会に出品。アジアの美術家との展覧会を行ってきた。三陸海岸や伊豆に彫刻と壁画の作品がある。絵本に『むらいちばんのりょうし アイパナナ』『太平洋横断ぼうけん飛行』『海はもうひとつの宇宙』(以上、福音館書店)、ほかにB.ブレヒトの詩による詩画集『子供の十字軍』(リブロポート)などがある。

書誌情報(セット)


読んであげるなら:4歳から
自分で読むなら:小学低学年から
定価:15冊セット定価16,500円(本体15,000円)
ページ数:各32ページ
表紙サイズ:各20×27cm
初版年月日:2024年4月1日
シリーズ:―