いつも絵本を子どもたちに届けてくださりありがとうございます。

このたび、福音館書店創立70周年記念出版の一環として、松居直(まついただし)の自伝的エッセイ集『私のことば体験』を刊行いたします。(2022年9月7日予定)

松居直は、福音館書店の創業に参画し、子どもの本の出版社としての礎を築いた編集者です。

子育てをするすべての人たちを応援する月刊誌「母の友」や月刊絵本「こどものとも」などを創刊し、『ぐりとぐら』『おおきなかぶ』『しょうぼうじどうしゃ じぷた』をはじめ、数々の絵本を世に送り出してきました。

敗戦後、子どもたちが心から楽しめる本がなかった日本において、豊かな絵本の世界を作り上げてきた松居直。

その根底にはことばへの思いがありました。

寝る前、母親に本を読んでもらった至福のひと時。

夕食後、仏壇の前であげるお経を正座して聞いた時間。

幼いころ、どのようにことばに触れ、どのように感じてきたのかが、彼の口から語られます。

そして、成長する過程で出会った人々や感銘を受けた本、出版の世界に飛び込んだきっかけや「こどものとも」刊行のいきさつ、日本の絵本の歴史を作り上げてきたすぐれた絵本作家たちとの出会いなど、思い出とともに話はつづきます。

挿し絵は安野光雅さん。

ユーモアあふれるカラーの挿し絵が本書に彩りを添えています。

保育にたずさわるみなさまに、ことばを育むことの大切さや絵本に込められた思いをお伝えできますことを願っています。

ぜひご一読ください。

※月刊誌「母の友」2009年4月号~2011年3月号の連載を単行本にまとめたものです。