2026年に創刊70周年を迎える月刊絵本「こどものとも」では、日本のみならず世界各地のさまざまな昔話を絵本でお届けしてきました。


今回、そのなかから15冊を復刊してお届けします。


世界各地の豊かな文化に触れつつ、個性的でおもしろい昔話の世界をお楽しみください。

4月1日の刊行に合わせて、15作品それぞれの魅力を毎日更新でお伝えいたします。

こどものともひろば 運営係


『しろいむすめマニ』

稲村哲也 再話 アントニオ・ポテイロ 絵

「世界昔ばなしの旅」11番目の作品は、アマゾンのインディオが大切にする“マニオカ”の神秘的な由来譚、ブラジルの昔話『しろいむすめマニ』です。

おはなしの舞台


昔、アマゾンのジャングルのなかで、人々がまだ定住して農作をすることがなかった頃のこと。ジャングルの村に、肌がまっ白な女の子が生まれ、「マニ」と名付けられました。

マニはみるみるうちに大きくなり、母親の仕事をなんでも手伝い、織物や人形作りもだれよりも上手にできるような女の子でしたが、1年で死んでしまいました。

その後、マニは母親の夢枕にたち、葬る場所を次々と変えてほしいと言うのでした。ある時、何日も何日も雨の降らない日が続き、ジャングルの木も枯れ始め、食べる物がなくなり、人々は村を捨てなくてはならない、と思われかけたその時、一羽の鳥がきて、こう鳴くのでした。

「キーッキーッ マニが よんでる マニが よんでる」

村人たちがまたジャングルに入っていくと、マニのお墓があったところには、見たこともない木が生えていて…


稲村哲也(いなむら てつや)


静岡県生まれ。東京大学大学院博士課程(文化人類学専攻)終了。野外民族博物館リトルワールド(愛知県犬山市)研究員、愛知県立大学文学部教授など歴任。ラテンアメリカの先住民(特にアンデス高原のケチュア族)の他、ネパール山岳民族、モンゴル遊牧民などの調査・研究に従事。絵本の再話に『あくまのおよめさん』(共訳)『アリアとコンドル』、著書に『アンデスのリャマ飼い』(以上、福音館書店)、『リャマとアルパカ-アンデス先住民社会と牧畜文化』(花伝社)、『ヒマラヤの環境誌』(共編著、八坂書房)などがある。

アントニオ・ポテイロ


ポルトガル生まれ。幼年時にブラジルに移住し、16才で陶工になる。1970年から絵画も始める。ブラジルの他、アメリカ、イタリア、フランス、メキシコ、日本など世界各地で展覧会に出展した。

書誌情報(セット)


読んであげるなら:4歳から
自分で読むなら:小学低学年から
定価:15冊セット定価16,500円(本体15,000円)
ページ数:各32ページ
表紙サイズ:各20×27cm
初版年月日:2024年4月1日
シリーズ:―