福音館書店の絵本は、全国各地にある「こどものとも社」を通して園のみなさまにお届けしています。
この連載では、そんな「こどものとも社」で働く方のイチ推し絵本を紹介していきます!
こどものとも社の方々の想いや、個性が垣間見える連載にしていきますね。熱心な方々のイチ推し絵本、きっと参考になると思います。
第三回は、「こどものとも東北・秋田営業所」より、横浜有紀さんのイチ推し絵本です。
こんにちは。こどものとも東北、秋田営業所の横浜有紀です。
普段は秋田県の県北のエリアを担当しております。
苗字は横浜ですが、もともとの出身は青森です。こうして今は秋田に定住し、絵本のお仕事をさせていただいています(ややこしくてすみません)。
生まれ持っての本好きで、幼少期は絵本が、学生の時は大きな括りで本という媒体が、今こうして社会人になっても変わらず好きです。
そして、今まで自分が好きになった本をお勧めするのがずっと好きです。この仕事に就き、働く中で子どもの時の自分もきっと気に入ってくれるような絵本をたくさん紹介させていただいております。
私のイチ推し絵本は、
『きっさすなどーひー』です!
私がお勧めする絵本は、
『きっさすなどーひー』です。
この絵本は園さんで大人気です。こどものともの月刊絵本は、季節にちなんだ絵本が届きます。この絵本は2019年8月号で、僕が入社した翌月、暑い夏の時期の物語に触れることになりました。
タイトルに「きっさすなどーひー」、穴にいる眼鏡をかけた謎のいきもののとなりには、看板があります。
大きく「ど」と書かれ、「あります」と書かれています。
「ど あります」と、冷やし中華始めましたというノリでかかれていますが、そもそも「ど」って何でしょう? かなり興味を惹く絵の表紙です。
子どもたちが遊ぶ公園の土の中にはたくさんの「つちくれ」たちが暮らしています。そんな、つちくれたちの「ひみつの喫茶店」が砂場の下にあります。
砂場からぽたぽたぽたとこぼれる泥水を地中のタンクで加工し、『こーひー』ならぬ『どーひー』を作っています。その『どーひー』を飲むことがつちくれたちの毎日の楽しみなのです。
しかし、カンカン照りで雨がまるで降らない日が続きます。雨が降らないと泥水がどーひータンクに溜まらないし、暑すぎて公園にだれも遊びにきません。毎日、来るのはお花にみずやりをしに来るおばあさんだけです。
どーひーを飲みたいつちくれたちは、夜中に何とか水をかき集めようとし、花火をじゅっと消した火消しの水を見つけます。バケツリレーで運んでゆき、ようやくどーひーが飲めるぞと、わくわくしておみせへ戻るつちくれたち。しかし、一斉に飲んだところ、あまりのまずさにみんな吐き出してしまいました。
このつちくれたちの「うぇっ」という表情で、子どもたちは思いっきり笑いました。花火を消した水は本当にまずかったようです。
最後に、つちくれたちが工夫して水を手に入れた瞬間には、子どもたちも私も、一緒に喜びました。
こどものとも東北の社員になってまだ間もないころ、この絵本を園さんで読み聞かせをすると、ものすごく反響がよく毎日の絵本の読み聞かせがさらに楽しくなりました。
読んでいくと、今までみんなが砂遊びしていた場所にはどーひーを楽しみにしているつちくれたちが暮らしていて、穴を深く掘るともしかしたら眠っているマスターやみんながいるかもしれないという予想だにしなかった声があり、園での砂遊びがもっと楽しくなったという声もありました。
もう一回読んで、もう一回読んでと何度も何度も言われるこの絵本を読み聞かせし、絵本って本当にいいなぁと感じました。園児さんや先生たちを含め、もっと好きになっていただけたらと思っております。
横浜のイチ推し『きっさすなどーひー』(こどものとも2019年8月号)でした。
こどものとも東北・秋田営業所 横浜有紀
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