2026年に創刊70周年を迎える月刊絵本「こどものとも」では、日本のみならず世界各地のさまざまな昔話を絵本でお届けしてきました。


今回、そのなかから15冊を復刊してお届けします。


世界各地の豊かな文化に触れつつ、個性的でおもしろい昔話の世界をお楽しみください。

4月1日の刊行に合わせて、15作品それぞれの魅力を毎日更新でお伝えいたします。

こどものともひろば 運営係


『チャマコとみつあみのうま』

竹田鎮三郎 絵/清水たま子

「世界昔ばなしの旅」5つ目の作品は、中米メキシコ・ミステカ族のお話『チャマコとみつあみのうま』。

自然とともに暮らす人々の教えに基づいた、不思議なお話です。

おはなしの舞台


6歳の男の子チャマコは、おじいさんといっしょに牧場にいき、馬や牛に水を飲ませたり見張ったりするのが仕事です。乱暴もののチャマコは牧場から帰ってくると、だれかれかまわず近くにいる人や動物を馬にして遊ぼうとするので、みんな逃げ回ります。

そのころ村では人々が、ドエンデというみつあみの魔物を恐れて口々に噂をしていました。

ある日、チャマコはだれも遊んでくれないので、山の中をどんどん歩いていきました。途中でむこうからみつあみの人が歩いてきます。チャマコはドエンデではないかとドキドキしますが、動物を担いだ人々の行列でした。



さらに山の中を進むと、チャマコは今度は不思議なおじいさんに出会います。そのおじいさんこそがドエンデで、ずっとチャマコを待っていたのでした。そして、人と動物がともに生きてゆくための大切な教えをチャマコに授け……。

メキシコ・オアハカ州では、生まれたときから自然界のあらゆる現象と合体して生きるという生き方の教えがあります。ミステカ族に伝わる昔話をメキシコ在住の画家が美しい色づかいで描きます。

竹田鎮三郎(たけだしんざぶろう)


1935年、愛知県瀬戸市に生まれる。1957年、東京芸術大学油絵科卒業。第1回~第6回(1957年~1968年)国際版画ビエンナーレ展出品。1963年メキシコへ渡航。1964年メキシコ青年版画第1席、1969年第1回全メキシコ絵画コンクール州賞第2席、1978年メキシコ外務省よりアギラ・デ・トラテロルコ賞を受賞。1988年日本外務大臣表彰。現在までに、メキシコ、アメリカ、日本などで個展を多数開催。多くの美術展にも出品する。画集に『インディオの祭』(ブックグローブ社)がある。メキシコのオアハカ市在住。

清水たま子(しみずたまこ)


1949年、埼玉県浦和市に生まれる。1969年、跡見学園短期大学生活芸術科卒業。劇団活動の後、大学時代の恩師である美術評論家、久保貞次郎氏に師事。同氏との共著『ヘンリー・ミラー絵の世界』(叢文社)がある。メキシコのオアハカ市在住。

書誌情報(セット)


読んであげるなら:4歳から
自分で読むなら:小学低学年から
定価:15冊セット定価16,500円(本体15,000円)
ページ数:各32ページ
表紙サイズ:各20×27cm
初版年月日:2024年4月1日
シリーズ:―