福音館書店の絵本は、全国各地にある「こどものとも社」を通して園のみなさまにお届けしています。
この連載では、そんな「こどものとも社」で働く方のイチ推し絵本を紹介していきます!
こどものとも社の方々の想いや、個性が垣間見える連載にしていきますね。熱心な方々のイチ推し絵本、きっと参考になると思います。
第二回は、「徳島こどものとも社」より、船田浩希さんのイチ推し絵本です。
こんにちは。
徳島こどものとも社の船田浩希です。
普段は、徳島県全域の園さんに絵本等をお届けしています。
高校の数学教師から、子どもの本の仕事に飛び込みました。
3人の子育て真っ最中です!
徳島こどものとも社では、Instagramも開設しているので、ぜひのぞいてみてくださいね。https://www.instagram.com/ttomosya1984/
私のイチ推し絵本は、
『おやつどろぼう』です!
物語のなかにすっぽりと入り込み、絵本の世界を存分に楽しむ。そんなことを思い出させてくれたのは、目の前の子どもたちでした。
こどものとも社の仕事を始めて間もない頃、幼いころに読んだ絵本の思い出と大人になってから開く絵本とのギャップに悩んでいた時期がありました。そんなときに私の手元に届いたのが「おやつどろぼう」(こどものとも2021年8月号)でした。
物語は、お母さんが冷蔵庫に隠したケーキがおかしな生き物“しましま”に盗まれ、主人公のアカーキーはケーキを取り戻すため、冷蔵庫の奥へと進んでいきケーキを奪還するという展開です。
2人の娘たちと読んでみると、ぐいぐいと物語のなかに引き込まれていき、その日から何度も繰り返しこの作品を読む日々が始まりました。そんなある日、こどもたちと何気なく遊んでいると、急に下の娘が「そんなにほしけりゃとってみろ!」と手に持っていた玩具をポーン!と放り投げたのです。最初は何が起こったのか分かりませんでしたが、ハッと「おやつどろぼう」の1シーンだと気がつきました。そこからは、「おやつどろぼう」のごっこ遊びの始まりです。アカーキー役としましま役を入れ替わりながら楽しみ、毛布やクッションをおやつに見立てて、そりゃあもうたくさん食べました。(もちろん作品の中の歌も一緒に歌って)
私自身は、小さい頃に沢山の絵本を読んでもらい、物語の登場人物になりきって遊んでいた記憶が今も残っています。けれど、大人になってから絵本を開いてみても、当時のようには楽しむことができませんでした。物語の世界にこんなにも自然にすっぽりと入り込めるのは、もしかしたらこども時代のほんの一部の期間なのかもしれません。そんな時期に、豊かなファンタジーに出会えることはとても幸せな体験ではないでしょうか。
大人は、絵本を開き、語りかけることで子どもたちを物語の世界に誘いこむことができます。そんな時間を、少しでも多くの子どもたちが過ごせることを願っています。
徳島こどものとも社 船田浩希
阿部結さんの作品は、『おやつどろぼう』のほかに『ぴったんこ』(こどものとも0.1.2. 2023年8月号)と『おじいちゃんのくしゃみ』を刊行中です!ぜひ読んでみてくださいね。
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