作者


末次健司 文・写真

内容紹介


植物といえば、緑色の葉っぱを思い浮かべますよね。

それは、緑色の色素があるからです。

この色素があることで、多くの植物は光合成をして、日光から栄養を作り出すことができるのです。

ところが、この色素を持たず、キノコなどの菌を「食べて」生活する植物たちがいます。

そのちょっと変わった生活をご紹介します。

担当編集者 より


植物にとってもっとも大事な「光合成」をやめた植物たちがいます。日本だと、沖縄から北海道まで、もちろん海外にもたくさんの種類がいますが、まだまだ新種が見つかるぐらい、その存在は知られていません。というのも、彼らの多くは暗い林床に生えており、小さくて見つけにくいものも多いのです。葉緑素がないので緑色をしておらず、カラフルでユニークな姿をしたものもたくさんいます。
また、姿だけではなく、その生き方も独特です。光合成をする普通の植物は、菌類に栄養を与えるかわりに、水や肥料をもらっています。ところが光合成をやめた植物は、自分の根にやってきた菌糸を消化し、栄養にしてしまうのです。また、腐ったキノコの匂いを出してハエに花粉を運ばせたり、カマドウマに果実を食べてもらってタネを広く分布させるなど、ほかの生き物たちとの関わり方も変えたものもたくさんいます。「普通の」植物とはちょっと違う生活をご紹介します。

作者情報


末次健司(すえつぐけんじ)


1987年、奈良県生まれ。2010年京都大学農学部卒業。2022年から神戸大学理学部教授。専門は進化生態学。光合成をやめた植物の生態を研究し、「キリシマギンリョウソウ」や妖精のランプと呼ばれる「コウベタヌキノショクダイ」など多くの新種を発見。さらに自然界の不思議を明らかにすることをモットーとし、多様な動植物に関する研究も展開。例えば、ナナフシが鳥に食べられても、なお子孫を分散できることを示唆した研究は、驚きをもって迎えられた。

書誌情報


読んであげるなら:―
自分で読むなら:小学中学年から
定価:770円(税込)
ページ数:40ページ
サイズ:25×20cm
初版年月日:2023年09月01日
通巻:たくさんのふしぎ 462号