作者
浅井ミノル 文/成広のり子 絵
内容紹介
小さな浮き袋のついた海藻がちぎれて岩場から離れると、海に浮いて海の中の流れにのって旅を始めます。
流れ藻にはいつのまにか小さな子どもの魚がよってきて、いっしょに旅をするようになります。大海原で暮らす幼魚にとって流れ藻は安心できる場所なのです。
流れ藻が旅のあいだに出会う生きものを紹介しながら、浜辺にうちあがって旅が終わるまでを描きます。
担当編集者 より
浜辺で貝殻ひろいをしているようなときに、きれいなまるい形のぷちぷちしたものがたくさん打ち上がっているのを見たことはありませんか? じつはそれは旅を終えた流れ藻の浮き袋です。
流れ藻が大海原を漂って旅しているところを目にする機会はあまりないのですが、船から海にぽつんと浮かぶ流れ藻を見たことがあります。視界にその流れ藻と乗っている船のほかに海の上に浮いているものはありません。およぐ力の弱い小さな魚にとって、大海原を漂う流れ藻はどれほどたよりになる存在であることかと思いました。海に浮かぶゴミにも生きものがよりつくと聞くと、悲しい気持ちになります。
取材のとき、流れ藻といっしょにいる小さな魚たちを水中から見上げたところを描きたいと、まだ水温の低い初夏の海に飛びこんでくださった成広さん、どうもありがとうございました! あのとき出会った魚たち、大きく育って海を泳いでいるかな。
作者情報
浅井ミノル(あさいみのる)
東京水産大学で水の生き物のことを学び、東京都の水族館・動物園に就職、定年後はクラフト作家を目指し研鑽中。街中・川辺や海辺・里山を歩くのを趣味とするが、足腰・体力の経年劣化に直面していつまで続けられるやら。絵本の仕事に『海辺のいきもの』(松岡達英絵)、『よくばり たーこ』(長新太絵/「ちいさなかがくのとも」2004年6月号、以上福音館書店)、『海のいきもの かいかたそだてかた』『水のいきもの かいかたそだてかた』(ともに浅井粂男絵、岩崎書店)などがある。
成広のり子
京都市在住。生物に興味があり、昆虫採集に出かけたり、海の中の美しさに心を奪われ、いつかイルカやクジラに海中で出会えることを夢見たりしている。絵本の仕事に『こんぶ』(川井唯史文/「かがくのとも」2021年11月号、福音館書店)、『つよいぞがっちゃん』『ちいさいカブちゃん』(ともにPHP研究所)などがある。
書誌情報
読んであげるなら | :5・6才から |
自分で読むなら | :― |
定価 | :460円(税込) |
ページ数 | :28ページ |
サイズ | :25×23cm |
初版年月日 | :2024年07月01日 |
通巻 | :かがくのとも 664号 |