福音館書店の絵本は、全国各地にある「こどものとも社」を通して園のみなさまにお届けしています。
この連載では、そんな「こどものとも社」で働く方のイチ推し絵本を紹介していきます!
こどものとも社の方々の想いや、個性が垣間見える連載にしていきますね。熱心な方々のイチ推し絵本、きっと参考になると思います。
第五回は、「こどものとも福岡」より、府後裕一郎さんのイチ推し絵本です。
こんにちは。こどものとも福岡の府後 裕一郎(ふご ゆういちろう)と申します。
私は、妻、息子(中学3年)、娘(小学4年)、チワワ(7歳くらい)、金魚(10匹)と北九州市に暮らしています。
大学1年生から10年間は東京で暮らしていましたが、2011年の夏に、実家の家業であるこどものとも社に入社しました。
家業なので、小さい頃は当然のように毎日たくさんの絵本を読んでもらっていた記憶があります。残念ながら内容はよく覚えていないものが多いのですが、読んでもらうことが毎日の楽しみだったこと、そしてその時に見えていた風景や温度などはとてもリアルに今でも思い出されます。
さてこの度、そんな私に福音館からイチ推しえほんを紹介してほしいと依頼をいただき、とても悩みました。
先述の通り、たくさんの絵本に出会ってはいるものの、内容はあまり覚えていないのです……。こどものとも社失格かもしれませんが、『ぐりとぐら』でさえ、入社して久々に絵本を開いてみたとき、『あー、こんな感じだったかな?』くらいの感想でしたから(笑)。
イチ推し……。『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』、『しゅっぱつしんこう』、「ムッシュ・ムニエルのシリーズ」なども好きだったなー。でもイチ推しっていうわけでもないかなぁ。
などなど、ウンウンうなっていたら、思い出しました! これが一番好きだったかも!! という、大好きだった絵本!
それは、月刊絵本「こどものとも」の『やぎのはかせの だいはつめい』(「こどものとも」1985年10月号:通巻355号)です!
いやー、スッキリしました(笑)。
当時、私は3歳。残念ながらハードカバー化されていないので今はもう手に入りませんが、僕の手元には鉛筆でぐちゃぐちゃに落書きされた当時の『やぎのはかせの だいはつめい』があります。しかも裏表紙には姉の名前が書いてあるので、おそらく姉が保育園から持って帰ってきたのでしょう。
当時、寝る前は姉と私で母を挟んで川の字になって(厳密には僕の隣には妹もいたはず)、それぞれの好きな絵本を1冊ずつ読んでもらっていました。
この『やぎのはかせの だいはつめい』は、最初は姉に読んでいるのを横で聞いて好きになったんだろうと思います。
内容ですが、ヤギの博士が動物村の村人が見守る中で5年8ヵ月と1週間もかけて、端から端まで歩くと616歩分もある、巨大な機械をつくります。
その機械は、山奥からリフト・ロボットの運んできた巨木をのみこんでいきます。機械の途中の最初の穴からは葉っぱが、次の穴からは丸太が、次は板、繊維に積木など、木を加工したいろんな物が次々に出てきます。しかし、博士のいちばん欲しかったのは、それらではありません。そして、最後の最後にちっぽけな穴から出てくるのは……なんとあれだったのです!というお話。
あれとはなんでしょう? 気になりますか? なりますよねぇ。
でも、読んでからのお楽しみということで(笑)。
面白そう!結末が気になる!なのに、なんでハ-ドカバーにならないんだ!と思ったあなた! 福音館に、『「やぎのはかせの だいはつめい」を再版してほしい!』と投書してください。
そんな投書がたくさんあれば、きっと福音館が出してくれるはずです。
こどものとも福岡 府後裕一郎
※『やぎのはかせのだいはつめい』はハードカバー化されていませんが、作者・槇ひろしさんの作品に、
『くいしんぼうの あおむしくん』があります。こちらはロングセラー絵本として刊行中です。
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