伝えたいことがあるのに、なかなか言い出せずにもじもじしてしまう……。

幼いころにそういう経験をお持ちの方は少なからずいると思います。

今回は、そんな恥ずかしがり屋さんにエールを送るすてきな絵本をご紹介!


『もじもじこぶくん』          

小野寺 悦子 文  きくちちき

こぶたの「こぶくん」は、恥ずかしがり屋。今日はひとりでアイスクリームを買いにいきます。「イチゴ味がいいかな、チョコ味がいいかな」と思いを巡らしながら……。でも、アイスクリーム屋さんに着くと、なんだか恥ずかしくなって声が出なくなってしまい、もじもじ、もじもじ。

「どのお味にしましょうか?」とお店のお姉さんが声をかけてくれるけれど、こぶくんは、ますます下を向いてもじもじしてしまいます。するとサイおくさん、ワニにいさんなど、あとから来た動物たちが次々にこぶくんを押しのけてアイスを買ってゆきます。圧倒されたこぶくんは、何も言えなくてますますうなだれてしまい、鼻の先が今にも地面に届きそう……。

すると、そんなこぶくんの耳に、「イチゴ味のくださーい」という小さな小さな声が聞こえます。誰の声だろうとあたりを見回してみると、それはアリの「ありいちゃん」の声でした。ありいちゃんは、一生懸命アイスの注文をしているのに、体も声も小さすぎて気づいてもらえないのです。悲しくなって、ありいちゃんはポロンと涙をこぼしました。

それをみたこぶくんは、「よし」と決心します。そしてありいちゃんを肩に乗せると、お店のお姉さんに向かって、2人分のアイスの注文をするのでした。自分でもびっくりするくらいの声で……。

最後は、勇気を振りしぼって手にしたアイスクリームを美味しそうに食べるふたり。その時は、こぶくん、ちっとももじもじしません。だって、もじもじしていたら、溶けてなくなってしまいますから!

さて、この『もじもじこぶくん』、初めは月刊絵本「こどものとも年中向き」2016年4月号として刊行されました。

親しみやすい「こぶくん」は、たちまち幼い子どもたちの共感を呼び、2019年にハードカバー化。子どもたちを励ます心温まる絵本として人気です。


そしてこのたび、「こどものとも年中向き」2024年3月号として、待望のシリーズ第二弾『もじもじこぶくん ピンクのぼうし』が刊行されました。

こぶくんがお気に入りの「ピンクの帽子」をかぶってすべり台で遊んでいると、風が吹いて帽子が飛ばされてしまいます。

拾ったのは、きかんぼのもこちゃん。もこちゃんはピンクのものを何でも自分のものにしてしまいます。 こぶくんは帽子を返してほしいのに、言い出せなくて「もじもじ」。さて、どうするのでしょう?

こぶくんがうなだれていると、小さな歌声が聞こえてきます。それは、桜の花びらの下で、こぶくんの帽子を持ってうれしそうなもこちゃんの歌う歌でした。その姿をみて、こぶくんは意外な言葉を発します……。最後には、ふたりともハッピーになる結末が待っています。ぜひ、第一弾の『もじもじこぶくん』とともにお楽しみください。

作者情報

小野寺悦子(おのでらえつこ)


1942年、岩手県生まれ。放送会社勤務後、創作へ。絵本に『あいうえどうぶつ おしごとなあに』(「こどものとも」2014年5月号)『さあ あてて ぼくは だれでしょう』(「こどものとも年中向き」2018年4月号)『どろんばあ』(幼児絵本シリーズ)『こうま』(「こどものとも0.1.2.」2009年6月号)『つららが ぽーっとん』『あーと いってよ あー』(ふしぎなたねシリーズ)(以上、福音館書店)など多数。詩集に『これこれおひさま』(のら書店)などがある。岩手県在住。

きくちちき


1975年、北海道生まれ。2013年ブラティスラヴァ世界絵本原画展にて『しろねこくろねこ』(学研プラス)で金のりんご賞を受賞。自作の絵本に『ぼくだよ ぼくだよ』(理論社)『ちきばんにゃー』(学研プラス)『いちにのさん』(えほんやるすばんばんするかいしゃ)『みんなうまれる』(アリス館)『ねこのそら』(講談社)『みんな』(WAVE出版)『ゆき』(ほるぷ出版)『ぱーおーぽのうた』(佼成出版社)『パパのぼり』(文溪堂)『とらのこ とらこ』(小学館)『もみじのてがみ』(小峰書店)などがある。「こどものとも」の作品に『こなやのこねこ』(「こどものとも年中向き」2017年5月号)『でんしゃ くるかな』(こどものとも0.1.2. 2018年8月号)『テオのりんご』(「こどものとも年中向き2019年4月号)がある。神奈川県在住。

書誌情報


読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:小学校初級向き
定価:1,100円(税込)
ページ数:28ページ
サイズ:20×27cm
初版年月日:2019年4月5日
シリーズ:こどものとも絵本