いつも絵本を子どもたちに届けてくださり、ありがとうございます。

今回は、北海道札幌市にある「光星友愛認定こども園」さんに、絵本から生まれた園内活動の様子を取材させていただきました。

~札幌市東区にある光星友愛認定こども園を訪れると、玄関では「ぐりとぐら」をモチーフにした手作りのかわいらしい飾りが迎えてくれます。園内を歩いていると、絵本が普段の子どもたちの生活の中に自然に息づいていることが伝わってきます。
同園の数馬園長、田中主任、広嶋副主任に、絵本から生まれた園内活動についてのお話を伺いました。

今回の絵本 ― 『でてこい でてこい! とうもろこし』(「ちいさなかがくのとも」2024年7月号)


飯野 まき さく


わたし、おばあちゃんの畑でとうもろこしをとるの。でも目の前の畑は葉っぱだらけ。とうもろこしはどこ?――主人公のなっちゃんが初めての収穫に挑戦する物語です。おいしいとうもろこしの目印は“茶色いもしゃもしゃ”だよとおばあちゃんに教えてもらって、いざ畑の中へ。でてこいでてこい、茶色いもしゃもしゃ。でてこい、おいしいとうもろこし!

「あっ、とうきびだ!」から始まった制作遊び


広嶋副主任が紹介してくださったのは、「ちいさなかがくのとも」2024年7月号『でてこい でてこい! とうもろこし』(飯野まき 作)をきっかけにした年少クラスの活動です。

絵本が届き、表紙を見た子どもたちからは「あっ、とうきびだ!」という声が次々とあがりました。北海道では「とうもろこし」を「とうきび」と呼ぶそうです。

「北海道らしいし、夏にぴったりの絵本だなと思いました。制作遊びにもつながりそうなとは感じたのですが、まずは絵本のお話を子どもたちとたっぷり楽しみました。」
すると、次第に子どもたちから、「とうきび作りたい!」「つくろう!」と声があがり、大盛り上がり。狙いは大当たり!
そこでエアパッキン(プチプチ)を切り分け、白い絵の具をつけてスタンプを押しながら、それぞれの「とうきび」を作ることにしました。

完成した作品は、一つひとつ表情が違っていて、子どもたちらしさがあふれています。

制作が終わったあとも、子どもたちは何度も『でてこい でてこい! とうもろこし』を開き、

「絵本と一緒だ!」

とうれしそうに見比べていたそうです。絵本を読んで終わるのではなく、遊びや制作へと広がり、さらに絵本へ戻っていく。そんな豊かな循環を感じたそうです。

絵本が子どもたちの共通言語になる


光星友愛認定こども園では、絵本から広がる活動が日常のあちらこちらで見られます。

田中主任は、年長クラスのお話をしてくださいました。

「年長クラスでは『ぐりとぐら』を年間のテーマとして取り組みました。お泊まり会では、ぐりとぐらから届いたお手紙が届いたという設定で、子どもたち一人ひとりが手作りのフェルトの帽子をかぶり、公園へ探検に出かけました。子どもたちは楽しそうに物語の世界へ入り込み、おやつにはもちろん、ホットケーキを作りました!」

発表会でも『ぐりとぐら』を題材にしながら、子どもたち自身の日常生活を物語の中へ取り入れ、現実と絵本の世界を自由に行き来する劇へと発展させて楽しんだとのことでした。

また『おおきなかぶ』の劇遊びも行ったことがあり、その時はなんと!子どもたちのアイデアも取り入れて新幹線やユニコーン、忍者まで登場。一見すると大胆なアレンジですが、子どもたち全員が絵本の物語を共有しているからこそ、それぞれの発想を思い切り膨らませることができるのだと感じたそうです。

絵本は「正解を覚えるもの」ではなく、遊びや表現の出発点になっている。そんな園での様子をお話いただきました。

家庭にも広がる絵本の楽しさ


光星友愛認定こども園では、月刊絵本を毎月各家庭へ持ち帰る際、先生方が保護者へ向けて、その月の絵本の見どころや楽しみ方を紹介するメッセージを掲示しています。

「園だけで終わらず、おうちでも親子でたくさん読んでほしい。」
そんな先生方の願いが込められているように感じました。

さらに絵本の貸し出しでは、一冊ずつ先生が紹介コメントを書き添える工夫も。
これは決して誰かに言われて始めたものではなく、先生方が自ら考え、続けている取り組みなのだとか。

絵本を通して家庭へも豊かな時間を届けようという思いが伝わってきます。

「園長先生が絵本を大切に思っているからこそ」


田中主任に園の魅力を尋ねると、真っ先に返ってきたのは数馬園長のお話でした。


「園長先生が絵本をとても大切にしているんです。だから私たちも自然に絵本を保育へ取り入れられるのだと思います。」

一歳児クラスでは『ぽんちんぱん』(柿木原 政広 作・福音館書店)を読むと、子どもたちはみんなで元気いっぱいに「ぽん・ちん・ぱーん!」と元気な声を合わせてくれます。

『でんしゃ くるかな?』(きくち ちき 作・福音館書店)では、「きたー!」の場面が大人気となり、自然と子どもたちの劇遊びに発展しました。

毎日の読み聞かせが、そのまま子どもたちの遊びや表現へとつながっていきます。

保育の出発点は、いつも絵本


取材の最後に、数馬園長は、こう話してくださいました。


「私にとって保育の出発点は、いつも絵本なんです。」

保育士養成校で学生に教えるときも、実際の保育でも、まず絵本を読むことから始める。
数馬園長ご自身も、長い保育人生の中で、何度も絵本に助けられてきたといいます。

また、園長として何より大切にしているのは、先生方が健康で、安心して働ける環境をつくること。


先生が満たされているからこそ、子どもたちも安心して過ごせる。
園での穏やかな空気は、保護者へも自然に広がっていくと考えています。
絵本は、子どもだけでなく、先生、保護者、地域をつないでくれる――。
そんな数馬園長の思いが、園全体の保育に息づいているように感じました。

絵本から始まる、あたたかな毎日


取材当日、札幌市は激しい雨が降っていました。それでも園内には終始、やわらかく穏やかな空気が流れていました。


ちょうど届いたばかりの月刊絵本に、先生方が一冊ずつ子どものマークを貼り、棚へ丁寧に並べている姿が印象的でした。

数馬園長の絵本への思いが現場の先生方へ受け継がれ、その思いが子どもたちへ、さらに家庭へと広がっていく。

光星友愛認定こども園では、絵本が子どもたちの毎日を豊かにするだけでなく、人と人とのつながりを育み、園全体のあたたかな雰囲気をつくり出していました。

※今回お話を伺った先生方。数馬園長を中心に、左から田中主任、毎月の月刊絵本を園に届けてくださる札幌第一こどものとも社藤田進社長、広嶋副主任。

運営係より


こどものともひろばでは、
より多くの子どもたちが絵本を通して素敵な体験ができるように、これからも「絵本から生まれた園内活動」を紹介させていただきたいと考えております。

もし、ご紹介いただける事例がございましたら、全国の「こどものとも社」へお声がけいただけますと幸いです。

※ご共有いただいたすべての事例をご紹介できるわけではありません。申し訳ありませんがその点についてはあらかじめご了承ください。