作者


にしむらかえ 文・絵

内容紹介


かんころと呼ばれる乾燥芋とお餅をつきこんで作る「かんころもち」。

焼くと香ばしく、自然で素朴な甘みが感じられておいしいこのお菓子の誕生には、迫害を逃れて長崎の島々に移り住んだ、潜伏キリシタンの人びとが、深く関わっていました。

長崎在住の作者が、今も信仰をまもりながらかんころもちを作る続ける人びとを取材し、その思いを絵本にまとめました。

担当編集者 より


ダンボール箱いっぱいに詰められた乾燥芋の中に、それだけ宝物のように紙で包まれた、ずっしりと重いかたまり。かんころもちは長年そんなふうにして、長崎の島々に暮らす父母や祖父母から、都会に出た子や孫たちへ送られ続けている郷土食です。

江戸時代、布教を禁じられたキリスト教を信じる人びとは、迫害を逃れて長崎の島々に移り住みました。

先住者が暮らす海辺の平地を避け、急斜面の山中に段々畑を作り、やせた土地でも育つさつまいもを栽培して命を保ってきたのです。

そのさつまいもを、一年中食べられる保存食にするため、ゆでて乾かしたものが「かんころ」。

潜伏キリシタンの人びとが、困難のなか信仰と命をつなげてきた結果生まれたのが、かんころもちなのです。

舞台となる上五島の島では、今でも集落ごとに建ち、花々で飾られた美しく小さな教会が、住む人の心のよりどころとなっています。

作者情報


にしむらかえ


1974年、愛知県生まれ。国際基督教大学卒業後、アイルランド、アメリカの美術大学で学び、ニューヨークで ”Dinah! A cat adventure” (Clarion books) (邦題『まんまるねこダイナ』 小学館刊)を出版する。著作に、”I am Dodo” “Bunny Lune” (Clarion Books/ともに未邦訳) 、『はるにうまれるこども』(絵本館刊)、『ものしり五郎丸』(文溪堂刊)など。 夫の転勤に伴い、長崎県に引っ越し、潜伏キリシタンの歴史やかんころ餅のことを知る。自身もいろいろなものを手作りするのが好きで、島の人の暮らしに共感するところが多い。

書誌情報


読んであげるなら:―
自分で読むなら:小学中学年から
定価:770円(税込)
ページ数:40ページ
サイズ:25×20cm
初版年月日:2021年09月01日
通巻:たくさんのふしぎ 438号