作者 


末次健司 文・写真 安斉俊 絵

内容紹介


春になるとひっそりと銀色の花を咲かせるギンリョウソウ。光合成をせずにキノコに寄生して生きる変わった植物です。作者はある日、森の中で赤みがかった色の珍しいギンリョウソウを見つけました。もしかしたら新種のギンリョウソウかもしれない。花や根の形を比べたり寄生する菌類を調べたり……。様々な調査から、ギンリョウソウの進化の謎を解き明かしていきます。

担当編集者 より


作者の末次健司さんがギンリョウソウと初めて出会ったのは子どものころ。近くの森で遊んでいると、足もとで銀色に光る不思議な姿の植物にひとめで夢中になりました。やがて植物学者となった末次さんは、ある時、赤色の珍しいギンリョウソウを見つけます。もしかしたら新種のギンリョウソウではないか? こうして、この植物の謎を解き明かす調査が始まりました。花の形や根っこの深さを比べたり、開花時期を調べたり、時には古い標本を手掛かりに違いを探す探偵のような調査まで。本書では、20年にわたる研究から分かった、ギンリョウソウの進化の道のりを丁寧に描いています。ギンリョウソウという小さな植物の紹介を通して、「種ってなに?」「生き物の進化はどうやって起きるの?」といった普遍的な問いにもせまります。植物の研究は、特別な難しいことをやっているわけではありません。植物をよく観察して、小さな違いに気づくこと。その積み重ねが、新しい発見につながるのです。まだ誰にも知られていない未知の植物は、遠くの山林やジャングルに行かなくても、じつは身近な自然の中にも潜んでいます。この本を読んで、身近な自然の中を歩き生き物を観察する「フィールドワーク」のおもしろさを知ってもらえたら嬉しいです。

作者情報


末次健司


1987年、奈良県生まれ。2010年、京都大学農学部卒業。2022年より神戸大学大学院理学研究科教授。同大学高等学術研究院卓越教授を兼任。専門は、日本の生物多様性を活かした植物・菌類・昆虫のナチュラルヒストリー研究。主に、光合成をやめた「菌従属栄養植物」の生態を研究し、「キリシマギンリョウソウ」や「妖精のランプ」と呼ばれる「コウベタヌキノショクダイ」など、多くの新種を発見してきた。自然界の不思議を解明することをモットーに、菌従属栄養植物にとどまらず、幅広い動植物やキノコに関する研究も展開。ナナフシが鳥に食べられても子孫を分散できる可能性を示した研究は、大きな驚きをもって迎えられた。著書に『「植物」をやめた植物たち』(たくさんのふしぎ傑作集)、『もっと菌根の世界』(共著・築地書館)などがある。


安斉俊


埼玉県生まれ。日本大学生物資源科学部卒。絵の仕事をする前は神奈川県水産技術センター内水面試験場で淡水魚の調査や研究をしていた。水辺の生きものから勉強をはじめて、山や草原、砂漠、様々な自然、様々な生きもの、なんでも描く。嫌いな生きものはいない。末次健司さんの研究のプレスリリース用イラストも多数手がけている。

書誌情報


読んであげるなら:小学三年生から
自分で読むなら:―
定価:880円(税込)
ページ数:40ページ
サイズ:25×19cm
初版年月日:2026年06月01日
通巻:たくさんのふしぎ 495号