作者
内容紹介
枯れ草ばかりのように思える冬の地面にも、よく見ると、寒さに負けずに育つ草たちが!
春の七草はどれもそんな植物で、寒いなか遠出せずとも見つかるものばかり。
自分で摘んだ葉を入れた七草粥を食べると、草を見る目が変わります。
ただの雑草だと思っていた草たちは、それぞれ個性ある自然の恵みだったのです。
七草粥作りを通じて人と自然とのつながりを伝えます。

編集担当者 より
あるべき姿の七草粥作りを通じて、人と自然とのつながりを見つめ直す絵本です。
年末年始の暴飲暴食で酷使した胃腸を癒すものとして、お馴染みとなっている七草粥。
一月七日、近くのスーパーなどで春の七草セットを買うご家庭も多いかと思います。
実は、春の七草は、寒いなか遠出せずとも見つかるものばかり。
多くは、スーパーも冷蔵庫もない昔、食料に乏しい冬を乗り越えるための貴重な栄養源として、自分たちで探して摘み、食べていた草でもありました。
寒さに負けずに生長する草を食べ、その生命力を自らの血肉とすることで、厳しい冬を乗り切ろうとしていたのですね。
そんな日本古来の若菜摘みの風習に、中国古来の正月七日に七種の菜を食べて邪気を払う風習が結びついて、七草粥の伝統行事となりました。
ちなみに、日本最古の歴史書『古事記』には新春の若菜摘みの様子が見られますし、日本最古の和歌集『万葉集』の冒頭には、雄略天皇の歌として、早春に一人の乙女が籠を持ち、若菜を摘む様子が詠まれています。
そして、平安時代には、中国の風習の影響で、宮中において、正月七日に七種類の草を入れたスープを食べるようになっており、そのスープがいつしかお粥になったようです。
今も、墨田区の向島百花園では毎年、皇室献上用に春の七草を入れた籠をこしらえるそうですよ。
作者情報
かわしまようこ
1974年鹿児島県生まれ。2000年より、草の写真展開催や雑誌などでの草の魅力の紹介、雑草教室の開催などをしている。現在、沖縄県在住。著書に『草と暮らす』(誠文堂新光社)など。雑誌の連載歴に「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)、「装苑」(文化出版局)、「天然生活」(扶桑社)、「PAPER SKY」(ニーハイメディア・ジャパン)、「リンカラン」(ソニーマガジン)など。絵本は初めて。
辻川奈美(つじかわなみ)
1978年東京都生まれ。ほぼ独学で絵を学ぶ。1枚の絵を描き上げるのに約1ヶ月かけ、日常風景をもどこか幻想的に描く。受賞歴として、ザ・チョイスに4回入選(山口晃選、会田誠選、天明屋尚選、長嶋訓子選)、第28回ザ・チョイス年度賞入賞、ペーターズギャラリーコンペ2017有山達也賞次点・サイトウユウスケ賞次点。装画に『湖畔の愛』(町田康著、新潮社)。絵本は初めて。
書誌情報
読んであげるなら | :5・6才から |
自分で読むなら | :― |
定価 | :440円(税込) |
ページ数 | :28ページ |
サイズ | :25×23cm |
初版年月日 | :2021年01月01日 |
通巻 | :かがくのとも 622号 |