作者


田中陵二 文・写真

内容紹介


鉱物で描く元素のものがたり。結晶を愛する著者が、元素の姿を求め、結晶をハンマーで極小まで割り、庭で鉱石を熱す。

するとみえてくる、元素・原子の世界。

この世はぜんぶ原子でできていて、それは90種類ってほんと? 

石といっしょに考えよう。美しく、ちょっとかわった元素の本です。

*付録一枚絵 特製<元素写真の周期表><鉱物ポスター>(裏表)つき

担当編集者 より


この本は、美しい鉱物や結晶をながめてもらいながら、読者の子どもたちを元素・原子の世界の入り口へ誘えたら、そんな思いでつくられた一冊です。
「原子ひとつぶはとても小さくて、人間の目にはまったく見えないため、身の回りのあらゆるものが元素や原子からできていると言われても、なかなかピンときません。調べないと、想像しないと、その存在すら気が付かないのです。ここが物質を調べる学問、すなわち「化学」の一番わかりづらいところ、でも、面白いところです。よく勉強すると、目には見えない原子や分子の存在がわかってきて、生物でも、工業製品でも、物質の性質をうまく利用して、からくりのようにその機能を使っているのがわかります。もちろん、まだわかっていないことも、いっぱいあります。
 化学では、3種類の考え方で研究がすすめられます。どうやって望みの物質を作り出すか「合成」、物質にどういう元素が含まれていて、原子と原子がどういうつながりかたをしているか「構造」、物質がどういう性質をもっているか「物性」、の3つです。目に見えないもののそれらをどうやって調べるかに、多くの科学の技術が用いられていて、そこでわかった物質の有用な特徴が、科学技術の基礎になり、毎日のように生み出される新しい製品にその技術が組み込まれます。そして、その化学という学問の最初のきっかけになったのは、この本で描かれたとおり、何千年もむかしの、石から絵の具や金属を取り出すくふうだったのです(田中陵二)」

作者情報


田中陵二(たなかりょうじ)


1973年、群馬県生まれ。(公益財団法人)相模中央化学研究所主任研究員。東海大学理学部化学科客員教授。群馬大学大学院工学研究科博士後期課程修了。科学技術振興機構研究員などを経て現職。専門は有機・無機ケイ素化学、結晶学および鉱物学。マクロ科学写真の撮影もおこなう。共著に『よくわかる元素図鑑』(PHP研究所)、『超拡大で虫と植物と鉱物を撮る』(文一総合出版)、監修に『GEMS 美しき宝石と鉱物の世界』(東京書籍株式会社)などがある。2013年より月刊誌『現代化学』(東京化学同人)にて「結晶美術館」を連載中。子どもにむけた本は、本作がはじめて。

書誌情報


読んであげるなら:―
自分で読むなら:小学中学年から
定価:770円(税込)
ページ数:40ページ
サイズ:25×20cm
初版年月日:2022年08月01日
通巻:たくさんのふしぎ 449号