作者


森元葉子 文/伊藤彰剛

内容紹介


ある朝、いちろうは、穴に落っこちたオオカミの親子を見つけ、じいちゃんと一緒に助けてあげました。

その後、ふたりは、そのオオカミと思いがけない再会を果たします。

明治時代の東北地方を舞台に、いまは絶滅してしまったニホンオオカミと人間の、最後の交流を描いたお話。

謎に包まれたニホンオオカミが気品たっぷりに描かれています。

担当編集者 より


 かつてニホンオオカミは、全国各地に棲んでいましたが、駆除や流行病、自然環境の変化などの影響により数を減らし、1905年に奈良県で発見されたのを最後に、絶滅したとされています。このお話は、明治末期の東北地方を舞台に、ニホンオオカミと人間の最後の交流を描いたお話です。


 埼玉県秩父市には、オオカミを祀っている三峯神社があります。作者の森元葉子さんは、そこを初めて訪れたとき、山中のどこかにいまでもオオカミが駆け回っているように思えてならなかったのだそう。以来、オオカミに関心を持った森元さんは、各地の民話にあたり、オオカミにまつわるエピソードが多数残されていることを知ります。人間にこれほどまでに大きく関わりをもってきたオオカミのことが書きたい。そんな思いで、森元さんはこの物語を創作しました。絵本の最終ページにある「どうか どこかで げんきでいてけろよ」は、森元さんご自身の、オオカミへ向けた言葉でもあります。


 そんな謎に包まれた気高きニホンオオカミを、伊藤彰剛さんが見事に描き切ってくれています。はるか昔に生きていた動物に思いを馳せながら、この物語を味わっていただけたらと思います。

作者情報


森元葉子(もりもとようこ)


宮城県生まれ。「季節風」同人。3人の子どもを育てながら、絵本の読み聞かせ、朗読、童話の創作を始める。市内の小学校で、図書ボランティアとして活動中。また、読書週間のイベントや所属する朗読サークルの公演のために作曲、ピアノ演奏も行っている。絵本は本作が初めて。神奈川県在住。

伊藤彰剛(いとうあきたか)


1979年、神奈川県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。日本文学、海外文学、児童文学など多くの書籍装画、小説挿絵を手がける。装画に『新訳・地下室の記録』(集英社)、『ヌメロ・ゼロ』(河出書房新社)など多数。絵本に「まくらからくま」(作・コジヤジコ/岩崎書店)がある。神奈川県在住。

書誌情報


読んであげるなら:5・6才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:32ページ
サイズ:26×19cm
初版年月日:2023年02月01日
通巻:こどものとも 803号