作者


小林陽子 文/種村有希子 絵

内容紹介


みほちゃんは引っ越してきてからまだ友達ができません。

今日も幼稚園からうつむき加減で帰ってくると、家の前にきいろいボタンがひとつ落ちているのを見つけました。

自分やお母さん、通りかかる人たちのものでもなさそうです。

ひとりぼっちのきいろいボタン。

けれど、どこから来たのか考えていると、みほちゃんにもボタンにも、うれしい出会いが訪れます。

担当編集者 より


環境が変わり、人間関係も変化する春。すぐに適応できる子はいいですが、ひと月ふた月経ってもなかなかなじめないという子も、少なくないことでしょう。

本作の主人公みほちゃんは、園に友だちができなくて帰り道もうつむきがち。それで拾ったひとりぼっちのボタンに心を寄せるうち、うれしい出会いに至る物語です。似た境遇の子もそうでない子も、気持ちを重ねて楽しんでもらえたら幸いです。

小林陽子さんは、あるときたまたま訪れたボタン博物館で世界中のさまざまなボタンを目にしたとき、小さなボタンひとつひとつにドラマがあることに心を打たれたのだそうです。このボタンはどこから来たんだろう、誰の、どんな服についていたんだろう……そんなことを考えるうち、誰かが落としていったきいろいボタンの物語が生まれたのでした。

おはなしを彩るのは種村有希子さんのやわらかな絵です。子どもたちの表情やしぐさを生き生きととらえたあたたかい絵が、みほちゃんとボタンの物語をカラフルに描き出します。
場面のあちこちからひそかにみほちゃんを見守るまなざしにもご注目ください。

作者情報


小林陽子(こばやしようこ)


1944年、千葉県生まれ。東京外国語大学フランス語学科卒業。出版社勤務を経て、翻訳・児童文学の創作を行う。絵本に『セーターパパ』(「こどものとも年中向き」2018年1月号)、童話に『カムイチェプ神の魚』(新日本出版社)などがある。東京都在住。

種村有希子(たねむらゆきこ)


北海道生まれ。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。第34回講談社絵本新人賞受賞。絵本に『きいのいえで』(講談社)、『サンタクロースになるひ』(小学館)、『だれのおとしもの?』(PHP研究所)、『まなちゃんはおおかみ』(偕成社)、『ふぶきのみちは ふしぎのみち』(アリス館)、『きょう、おともだちができたの』(作・得田之久、童心社)など。北海道在住。

書誌情報


読んであげるなら:5・6才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:32ページ
サイズ:26×19cm
初版年月日:2023年06月01日
通巻:こどものとも 807号