今年は梅雨の始まりが早いようですね。各地で梅雨入りが宣言されています。

梅雨になると、外を出歩けないし、洗濯物は乾かないし、低気圧が続いて体調不良になったり……梅雨の季節は嫌だなと思っている方も少なくないことでしょう。

でも、この季節になると、ひときわ元気な鳴き交わしの声が聞こえてくる生きものがいます。

そう、「かえる」。

今日は、水辺で元気に暮らすかえるたちの姿を描いたロングセラー絵本をご紹介します。


『ゆかいな かえる』

ジュリエット・ケペシュ 文・絵
いしいももこ 訳

雨の多いこの季節。田んぼの近くを歩くと「ゲッ、ゲッ」と鳴き交わすかえるの声が聞こえます。都会でも、学校や公園の池からにぎやかな声が。雨が降っていると、かえるたちの鳴き声がひときわうれしそうに聞こえます。

かえるは昔から人が生活する場所の近くにいて、子どもたちの友だちでした。

田んぼで数えきれないほど捕まえたり、小さなアオガエルを服の上に這わせてブローチにしたり……など、さまざまにかえると遊んだ体験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

もちろん、絵本や童話のなかにも、たくさんのかえるが登場します。そのなかから今回は、元気なかえるたちを描いた絵本『ゆかいなかえる』をご紹介します。

水草のそばの4つのたまごから、おたまじゃくしが生まれ、やがて立派な4匹のかえるに成長します。かえるたちは泳ぎの競争をしたり、かたつむりのかくしっこをしたりして楽しく遊びます。

ときには鳥や亀に狙われることもあるけれど、かえるたちはへっちゃら。じょうずに隠れて危険を逃れます。おなかがすいたらご飯を食べ、夏の夜は歌って暮らすかえるたち……。

イギリス出身の絵本作家ジュリエット・ケペシュさんの描くかえるたちは、ユーモラスでどこまでも明るく快活です。

いしいももこさんの訳で翻訳出版してから50年以上読み継がれているロングセラー。何があっても楽しく暮らすかえるたちのバイタリティーあふれる姿に、読んだ誰もが元気をもらえる絵本です。


作者情報

ジュリエット・ケペシュ


1919年ロンドン生まれ。英国のペックマン、ブライトン両美術学校、米国シカゴのインスティテュート・オブ・デザインを卒業。1944年に初めての絵本『五ひきのこざる』を発表、以降数冊の絵本を出版。絵画やテキスタイルデザインでニューヨーク近代美術館の賞も受賞。1999年没。

いしいももこ(石井桃子)


1907年、埼玉県に生まれた。1951年、『ノンちゃん雲に乗る』で文部大臣賞受賞。1953年、児童文学に貢献したことにより菊池寛賞受賞。童話に『三月ひなのつき』、絵本に『ちいさなねこ』『くいしんぼうのはなこさん』、翻訳に『ちいさなうさこちゃん』「ピーターラビットの絵本」シリーズ(以上、福音館書店)、『クマのプーさん』『児童文学論』(以上、岩波書店)など多数。2008年没。

書誌情報


おとなが読んであげるなら:3才ぐらいから
じぶんで読むなら:小学校初級から
定価:1,100円(税込)
ページ数:32ページ
サイズ:16×24cm
初版年月日:1964年7月15日
シリーズ:世界傑作絵本