作者


田中陵二  文・写真

内容紹介


摩訶不思議な色のお話。

化学者で鉱物を愛する著者の田中さんが、石や貝、草花から色をつくりながら、大昔の色、そして今の色までをご案内。

私たちが便利につかう、色鉛筆や絵の具、マーカー、染料を手にするまで。

それは、知られざる化学の歩み、れきしでもありました。

*付録一枚絵 特製<幻の色たちポスター>つき。ミイラの茶色などなど、全64色。

担当編集者 より


この本は、わたしたちが今は自在につかう「色のもと」、顔料・染料をテーマにした一冊です。著者の田中さんと一緒に自然のなかをめぐりながら、古今東西の「色」の世界へ。今は忘れられてしまったふしぎな色の世界も、たっぷりご紹介します。

鉱物や貝、葉っぱや草花から、いにしえの色たちをつくろう。

大むかしから今にいたるまで、人間はどんなふうに色をもとめ工夫して手に入れてきたのでしょうか。

「家や学校、そして街の中で、みなさんの身の回りをぐるっと見わたしてみてください。さまざまな色が目にとまるとおもいます。この色は、植物、動物、石などの自然のもの、あるいは空や星や花火・ネオンサインなどの光そのもののもつ色をのぞき、人間がものにくっつけた色です。赤もあれば青色もあり、緑も紫も黄色もあります。これらの色は、色の「もと」を自然からもらって、または人間がつくりだして、色を付けています。この色の「もと」を「色素」といいます。人間は、その文明の中で、色の「もと」をえらび出し、色になんらかの意味づけをしてつかっているのです。色の「もと」には、さいきんつくりだされたものもあれば、大昔、人間がまだ文字を持っていなかったころに、みつけたものもあります。昔から今までずっとつかわれているものもありますし、今ではもうつかわれることのない、忘れられた色もあります。人類は、そのあゆみのなかで、どんな色の「もと」を探しだしてつかってきたのでしょうか。この本は、そういう色の「もと」の歴史を追いかけていきます。いっしょに山や野、川や海に出かけましょう。色を自在につかうため自然を探究した大昔のひとがそうであったように。(田中陵二)」

作者情報


田中陵二(たなかりょうじ)


1973年、群馬県生まれ。(公益財団法人)相模中央化学研究所主任研究員。東海大学理学部化学科客員教授。群馬大学大学院工学研究科博士後期課程修了。科学技術振興機構研究員などを経て現職。専門は有機・無機ケイ素化学、結晶学および鉱物学。マクロ科学写真の撮影もおこなう。共著に『よくわかる元素図鑑』(PHP研究所)、『超拡大で虫と植物と鉱物を撮る』(文一総合出版)、監修に『GEMS 美しき宝石と鉱物の世界』(東京書籍株式会社)などがある。2013年より月刊誌『現代化学』(東京化学同人)にて「結晶美術館」を連載中。たくさんのふしぎは、『石は元素の案内人』(昨年8月号・品切れ)に続き2作目。今年、チームで発見した光る新鉱物「北海道石」が世界的な機関に新鉱物として認められ、この石の記載者の一人となった。

書誌情報


読んであげるなら:―
自分で読むなら:小学中学年から
定価:770円(税込)
ページ数:40ページ
サイズ:25×20cm
初版年月日:2023年10月01日
通巻:たくさんのふしぎ 463号