作者
中村桂子文 はたこうしろう 絵
内容紹介
「生きものはみんな仲間」。理想のように響くこの言葉は、自然科学的に見ても本当にそうなのです。バクテリアでも、動物でも、植物でも、人間でも、すべての生きもので同じように働くDNAを通して「生きものとはなにか」を考えます。そして、DNAを知ることで、子どもたちがよりよく生きられるようにと願いをこめた絵本です。

担当編集者 より
「生きものはみんな、40億年というとんでもなく長い歴史をもっている仲間です。だから、どの生きものも生きていること、そのことに価値があるのです」
―本文32ページより―
わたしたち人も、庭にいるアリも、目には見えないバクテリアも、どこで生まれたのかをたどっていくと、もとは40億年ほど前にあった一個の細胞です。その中にあったと考えられているDNAが、40億年たった今も、地球上にいるあらゆる生きものの中で同じように働いています。A(アデニン)T(チミン)G(グアニン)C(シトシン)、たった4つの塩基の組み合わせでできたシンプルな暗号表が、多様な生きものを生み、すべての生命活動をささえている。考えれば考えるほど、すごいことだと思いませんか?
この絵本では、「遺伝」「タンパク質をつくる」「成長と進化」というDNAの基本的なはたらきを紹介しながら、「生きもの」とはなにかを考えてゆきます。文章を書いた中村桂子さんが、DNAに出会ったのは、らせん構造が発見された1953年ごろのこと。それから、70年、DNAを通して、生きているとはどういうことかを考えつづけてこられました。子どもたちそれぞれの生きかたを肯定し、よりよい未来を生きることができるようにとの願いを込めて、本作を書き上げてくださいました。
「作者のことば」に中村さんはこう書かれています―
「DNAを知れば生きもののこと、人間のことがすべてわかるわけではありません。でもDNAのまほうは生きものの面白さ、すばらしさを教えてくれるので、DNAを知ると、生きものとして生きることが楽しくなることは確かです。」
作者情報
中村桂子(なかむらけいこ)
1936年東京都生まれ。JT生命誌研究館名誉館長。東京大学大学院生物化学科修了。理学博士。ゲノムを基本に生きものの歴史と関係を読み解く「生命誌」を提唱し、1993年JT生命誌研究館を創設。2002~20年同館館長。『自己創出する生命』(筑摩書房)『科学者が人間であること』(岩波書店)『生命誌とは何か』(講談社)『科学はこのままでいいのかな』(筑摩書房)『人類はどこで間違えたのか-土とヒトの生命誌』(中央公論新社)ほか著書多数。
はたこうしろう(はたこうしろう)
1963年兵庫県生まれ。絵本作家・イラストレーター。絵本の仕事は『ゆらゆらばしのうえで』『あかちゃんがやってきた』(ともに福音館書店)、『なつのいちにち』(偕成社)、『むしとりにいこうよ!』『ふゆのむしとり!?』(ともにほるぷ出版)、『ゆきのこえ』(講談社)『二平方メートルの世界で』(小学館)など多数。「たくさんのふしぎ」で絵を担当するのは、『わたしたちのカメムシずかん』(現在、たくさんのふしぎ傑作集)につづき2作目。
書誌情報
読んであげるなら | :小学三年生から |
自分で読むなら | :― |
定価 | :810円(税込) |
ページ数 | :40ページ |
サイズ | :25×19cm |
初版年月日 | :2025年04月01日 |
通巻 | :たくさんのふしぎ 481号 |