突然ですが、これはなんでしょう?

なにかを上から見たところです。

正解は……

そう、サンドイッチ!

横から見ると、見覚えのある姿ですぐわかりますね。

「こどものとも年少版」2024年6月号『うえからみたり よこからみたり たべものいっぱい』のワンシーンです。

ふだん見慣れているはずの食べものが、視点を変えると違って見える、そのおもしろさを描いて話題になりました(現在も、バックナンバーとしてお求めいただけます)。

この絵本を描いたのは、麻生知子(あそうともこ)さん。

独特の構図で人の暮らしやものの姿を描いている麻生さんの絵本デビュー作は、「こどものとも年少版」2018年9月号『うえからみたり よこからみたり』でした。こちらは食べものだけではなくて、金魚鉢や、運動会の「玉入れ」のシーンなども描かれていました。

「玉入れ」で子どもたちが玉を投げ入れる様子も、真上から見ると不思議な幾何学模様のように見えるのがなんともユニークです。

さらに月刊絵本だけではなく、麻生さんにはこれまでに2冊のハードカバー絵本『こたつ』『なつやすみ』があります。


『こたつ』

麻生知子 作

ある家族の暮らしの中心・こたつでのできごとを、真上からの定点観測で描いたユニークな絵本です。

大みそかの朝、「今日は夜中まで起きている」と宣言して、こうたくんの長い一日がはじまります。

宿題せずにごろごろしたり、おせち料理づくりを手伝ったり。

年越しそばを食べた後は、初めての夜ふかしを堪能します。

真上から俯瞰(ふかん)で見る独特のスタイルで、こたつのある生活の楽しさと、家族のあたたかさ、新年を迎えるよろこびを描いています。


『なつやすみ』

麻生知子 作

こうたくんの家に、いとこの家族が遊びにきました。

みんなでプールで遊んだ後は、家でそうめんの昼食をかこみます。

昼寝から覚めたらスイカを食べて、夜は神社のお祭りへ。

夜店の金魚すくいに夢中になったこうたくん、気がつくと「あれ、みんなどこいっちゃったの?」……。

ユニークな構図で描く絵の中では、朝顔が咲き、セミが鳴き、祭りばやしの笛の音が聞こえるかのようです。

この作品は、産経児童出版文化賞美術賞を受賞しました。


そして……おまたせしました!

このたび、ハードカバー絵本第3作の『りょこう』が刊行されました。

『りょこう』

麻生知子 作

こうたくんとおじいちゃんは、ふたりで旅行にいきます。

駅弁をもって電車に乗りこみ、着いたところは、山あいの旅館。

湖でボートに乗ったあとは、大浴場で背中を流しあい、卓球で真剣勝負。

夕食では、ジュースとビールで「かんぱーい!」。

ところが夜、こうたくんは、ホームシックになってしまいます。すると、おじいちゃんは…… 

『なつやすみ』で産経児童出版文化賞美術賞を受賞した麻生さんがユニークな構図で描く、孫と祖父、はじめての「冒険」旅行です。


いかがでしょうか?

見慣れている光景がまったく新しい景色に見える不思議さ、

それでいてユーモアがあって、どこかノスタルジックなあたたかさにあふれている、麻生知子さんの絵本。

この機会にぜひお手に取って、味わってみてください!


作者情報

麻生 知子(あそうともこ)


1982年、埼玉県生まれ。画家、絵本作家。2008年より、友人の画家・武内明子とともに、日本全国を旅して作品の題材と展示場所を探し、制作し、その土地で発表する≪ワタリドリ計画≫の活動をおこなっている。また、神奈川県藤沢市で、山内龍雄芸術館を運営している。絵本作品に、『うえからみたり よこからみたり』『うえからみたり よこからみたり たべものいっぱい』(こどものとも年少版)、『こたつ』『なつやすみ』(産経児童出版文化賞美術賞受賞)『りょこう』(すべて福音館書店)、『レストランふろ』(小学館)がある。好きなものは、温泉と食べること。愛猫の名前はクロ。

新刊『りょこう』:書誌情報


読んでもらうなら:5才から
自分で読むなら:小学校初級から
定価:1,500円(税込)
ページ数:40ページ
サイズ:26×25cm
初版年月日:2025年5月14日
シリーズ:日本傑作絵本