こどものとも0.1.2.

『くだもの くださいな』

みやまつともみ さく

〇子どもからの視点　「語りかけてくれる心地よさ」

　子どもたちが0歳児、1歳児の時に何より大事なことの1つに「語りかけ」があります。大人から語りかけられる温かい言葉、柔らかい言葉があって、赤ちゃんは「耳を傾ける」ように育っていきます。大事な場面で叱られることもあります。でも、「語りかけ」があるから、人として育っていきます。
　さて、この絵本。「果物」は語りかけのための素材です。言葉が心地よく、普通に読んでいるだけで、まるで赤ちゃんとおしゃべりするように読むことができます。りんごを見たら「丸いね～」「大きいね～」「赤いね～」と語りかけるように、この絵本は様々な果物で「コロコロしているね～」「つんつんだね～」と。ただの写真の絵本や名前の絵本だと、どうしても知識を教えようとする大人目線が入ってきます。子どもの視点から見ると、一番嬉しいのは「語りかけてくれる心地よさ」ですよね。年度の初めのバタバタ時期だからこそ、ちょっと一息つかせてくれる温かいコミュニケーションの絵本です。

〇保育で活かしていく4月号

1．部分読み！！

4月は0歳児も1歳児も慣し保育で大忙し！

だからこそ、1日1ページでも読めて関われたら大正解！！

２．好きなとこだけ読み！！

その子の、その子たちの好きなところだけ読めば「語りかけられる心地よさ」は達成！
4月の信頼関係構築に効果を発揮！

３．手作りおもちゃに！

シンプルな絵なので、布で作る手作り絵本に変換しやすい！！
そこから手に触れる遊びにも活かすことができます！
手作り絵本でなくても、マジックテープをくっつけたり、絵をラミネートしてマグネットにしたりして、手作りの果物を貼ったり、とったりできる玩具にするのも活かし方の1つ！
絵本と遊びをつなげよう！

こどものとも年少版

『ねぼすけくまさん』

こさかまさみ 文
及川賢治 絵

〇子どもからの視点　「絵本の中でぐらいゆったりさせてくれる物語」

　3歳児向け。ここは現場としては難しいクラスです。家庭から来た子、月齢からの発達差、特性による違いが顕著になる子どもたちです。子どもたちも朝の用意や活動などやらねばならないことが途端に増えたり、また保育者の数も減ったりします。とにかくバタバタです！
　その忙しい中で絵本を読むのです。しかも、お兄ちゃん、お姉ちゃんクラスになり、環境も大きく変わる中で、最初の「あなたの絵本」である月刊絵本が「難しい！」「何か教えられて楽しくない！」だと、子どもたちには苦痛の時間です。今回の絵本は、良い意味で「なんとなく聞いていても楽しい」のがポイントです。
　あまり難しく考えず、ねぼすけのくまさんのままに、ゴロゴロしていれば、いつのまにか大好きなものが食べられる。幸せな時間を物語で楽しめます。ただでさえ、色々大人に言われる3歳児の4月。「絵本の物語の中では、ゆったりさせてよ！」と子どもたちの声が聞こえてきそうです。幼児になった最初の「あなたの絵本」は、「ほっと聞けて」「楽しくて」「人の話が聞きたくなる」絵本です。

〇保育で活かしていく4月号

1．途中まで読み

3歳児の4月ですから、最初から最後まで聞くのがしんどいクラスや子どもの場合は、まずは途中で終わって、「続きは明日ね！」でも大丈夫！

次の日に「じゃあ昨日の続きいくよ！」と少しずつ物語に慣れていくのも保育者のスキル！

2．まねっこ読みからまねっこ遊びへ

もし、お話を十分に楽しめる子たちなら、まねっこ遊びをしちゃいましょう！　絵本のストーリーがシンプルなので、
「くまさんくまさん寝ています」（くーくーくーと真似します）
　「そのままゴロゴロ転がった」（ごろごろごろの真似）
「うさぎさんのじゃまをしちゃった、歩いていこう」（ふらふらしながら歩く真似）
「ごつん！　からすさんごめんよ。」（頭を打ったフリをして、またフラフラ歩く真似）
「あら、石でこけちゃった！　ごろごろごろ！」（こけた真似とごろごろごろの真似）
「バッチャーン！！　冷たい冷たい！」（水に落ちる真似）
「そこでやっとめをさまし、なんとそこはいちごがいっぱい」（起きた真似といちごを食べる真似）
「お腹がいっぱい、おやすみなさい」（最後はもういっかい寝て、おーしまい！）

3．季節とのつながりの会話へ－「隠し絵を活かす」－

いちごは季節物。
こういう絵本の時には、家で食べたいちごの話などをたくさんしてあげてください。
また、裏表紙に、もう1つの季節物！
実はてんとう虫が隠れています！
それも4月最初の信頼関係構築のための会話のきっかけにしてください！

こどものとも年中向き

『ともだちドライブ　バロバロブーン！』

たしろちさと　さく

〇子どもからの視点　「ともだちと一緒にいたい！！」

　年中向き4歳児向け！ぴったりです！！　この絵本は、子どもの視点にも大人の視点にもぴったりです！　そういう絵本は、子どもたちが本当に好きになる絵本です！　子どもは「友だち」が大好きです！　大人も「友だち」と仲良くして欲しいです。だからこそ、この絵本は大人と一緒に読み合うと質の高いコミュニケーションが生まれやすい！　それは気持ちの通じ合いです。4歳児の最初の「あなたの絵本」で「通じ合う」。それは、とても幸せなことではないでしょうか。
　主人公の個性も、子どもたちは自分を重ねやすい！！　4月の最初のクラスつくりにも、一人一人の個性を大切にするにも、頼もしい絵本の誕生です。

○保育で活かしていく4月号

1．読み終えた後のちょっとした会話―みんなで分かり合うために―

主人公の車の性格は、のんびり、せっかち、好きなものは好きという、ものです。

クラスの子にも、色々いるはずです。

誰がどんな性格か、誰がのんびりさんか、誰がどの車と似ているか、対話して、人間関係の理解である「ともだち」を広げ、深める機会に！

2．保育者からのメッセージを

年度初めは、保育者からのメッセージも大事です！

「ともだち」っていいよね！　素敵だね！

と伝えるきっかけにもなります。

3．ちょっとした季節のオマケ―春のタンポポの綿毛の隠し絵―

実は、タンポポの綿毛が1つ飛んでいます。

ストーリーに沿うようにいます。

よかったら、子どもたちが気づくまで待つも良し、伝えて一緒に探すも良し、ちょっと季節感を楽しんでみてください！

こどものとも

『まゆとてんぐ』

富安陽子　文

降矢なな　絵

〇子どもからの視点　「好きに決まっているから早く読んで！！」

　正直説明不要です。子どもたちは、こういう物語から言葉に触れて、聞きたい姿勢をのばしていきます。「妖怪？」「天狗の学校？」「好きに決まっているから早く読んで！」が子どもの声で気持ちでしょう。

　年長の子どもたちを魅了すること間違いなしの物語。パワフルに、かっこよく、やりすぎぐらいのエネルギーを持ってほしいという願いも込めることができます。「あなたの絵本」の最後の一年の最初の絵本。長い物語のスタートにぴったりの絵本です。

○保育で活かしていく4月号

1．シリーズを楽しむことで絵本への親しみを

5歳児の新年度。子どもたちも緊張しています。

保育者も。

どんな絵本を読もうかな。

年長担任のプレッシャーの中4月が始まります。

シリーズもので始まる4月号は、保育者の味方でもあります。

何が好きかを探るツールとして、人間関係を創るためにも、たくさん読んであげてください！

2．妖怪というテーマを楽しむ

天狗？　河童？　鬼？

子どもたちには魅力ある「妖怪」「化物」です。

どんな遊びになるかは、そのクラス次第ですが、シリーズを読みながら、まずは聞いてみましょう。

「なんの妖怪が好き？」「妖怪で何かしたい遊びある？」と。

すると、子どもの発想が出てくるかもしれません。

その可能性を十分に秘めた絵本です。

ちいさなかがくのとも

『てんとうむし、とんだ！』

澤口たまみ　ぶん

廣野研一　え

〇子どもからの視点　「見てみたい！探したい！やってみたい！」

　素晴らしすぎる科学絵本です。幼児向けの科学絵本は「感じたい！」「やってみたい！」を引き出すものです。そして、この絵本はそれが完璧と言って良いほど魅力的です。繰り返しの言葉のリズムの心地よさ、てんとう虫の一つ一つの動きの描き方、絵と言葉が両輪になり、質の高い科学絵本となっています！最後の「おてんとさま（お天道様）にとんでった！」の言葉は見事です。太陽＝お天道様。これがてんとう虫の名前の由来。

　これを読んだ子は「やってみたい？」と聞かなくても、きっと「やってみたくなる」でしょう！「あなたの絵本」「あなたたちの絵本」になる最初の絵本4月号ですが、まずは子どもたちと園庭や散歩先で、てんとう虫に出会ってみてください。

〇保育で活かしていく4月号

1．探してみる！　やってみる！

てんとう虫を探すしかありません！

虫が苦手な子でも、ちょっとかわいく思えるのがダンゴムシとてんとう虫。
手の中から指に登っていき飛んでいく。
そんな風景こそ、子ども時代の幸せな原風景です！

2．飼育してみる！

園によりますが、てんとう虫は飼育もしやすい小動物！

ぜひ、捕まえて飼ってみてください！

細部まで楽しみ、生き物の命に触れるきっかけを与えてくれる絵本です。

3．描いてみる！創ってみる！

保育には、てんとう虫の制作や造形表現の活動は、山ほどレパートリーがあります！

紙皿、丸シール、スタンプ、手形、いろいろな子どもたちに技量も合わせられます！

春を感じる活動として、ぜひこの絵本から活かしてみてください！

かがくのとも

『しもんのぎもん』

齋藤槙　さく

〇子どもからの視点　「見たい！→知りたい！→やってみたい！の3段階で面白いじゃん！」

「指紋」！　なぜ、保育に関係なさそうなことがテーマに！　科学絵本は、子どもの知的好奇心を育てる役目があります。さて、この絵本読んでみてください。指紋というテーマを、これだけ面白く、「指紋を見たい！」→「色々な指紋を知りたい！」→「指紋や指を活かしてやってみたい！」まで簡潔に描ききった絵本は初でしょう！

　子どもたちと絵本を通して、何か楽しい活動や遊びや対話が生まれること、そのものが子どもたちの就学前に重要な体験です。年長向けにふさわしい「あなたの絵本」の誕生です！

〇保育で活かしていく4月号

1．読み方はそのページだけ楽しむ日もあり

4月はなかなか時間がありません。

だからこそ、絵本の最初のほうで子どもと一緒に見て、数ページでもその日は読み終えてもOK！

ページごとに子どもたちと対話を楽しむがコツ！

2．まずは自分とみんなを見る！

自分の指紋を見てみましょうと、どんどん細かく見てみましょう！

つぎに友達と保育者と比べてみましょう！

それが知りたい！　見たい！　の好奇心を育てます！

3．絵画へ！－世界にひとつだけの指紋スタンプ－

自由にスタンプしても良いし、春にぴったりの花のスタンプでも、あなたの指紋は世界にひとつだけ！

指紋スタンプの活動は世界で唯一の表現につながります！

ぜひ！