作者


とうごうなりさ

内容紹介


夕方の駅前。ハクセキレイが1羽飛んできて、ビルの屋上に降り立った。もう1羽、また1羽。ハクセキレイはどんどん飛んできて・・・・・・。

町で暮らす鳥の多くは、昼間は単独で行動していても、暗くなるとねぐらに集まり、みんなで夜を過ごします。

眠る前には自分のとまる枝を選んだり、羽繕いをしたり。朝を迎えるまでの鳥たちの姿を、美しい版画で描きます。

編集担当者 より


 ハクセキレイという鳥をご存じでしょうか。

白い頬に黒い頭、ちょんちょんと尾を上下させて歩く姿がチャーミングな、街で出会える身近な鳥です。

昼間は個々で行動しますが、夕方になると群れを作り、駅前の大きな木や街路樹などをねぐらにして眠ります。

冬は、その年に生まれた幼鳥が加わって、ねぐらを最も観察しやすくなる季節です。

ねぐらに入った鳥たちが、自分のとまる枝を選んだり、羽繕いをしたりする姿は、私たちが寝る前に寝間着に着替えたり、その日にあったことを話し合ったりするのと、重なって感じられるかもしれません。


 作者のとうごうなりささんのお住まいの近くにも、ハクセキレイが大きなねぐらを作っている木がありました。

暗い空を背景に、ねぐらの木に鈴なりになったハクセキレイの白いお腹がハクモクレンの花のように見えたというとうごうさん。親しみを込めて、ハクセキレイを「ハクセキモクレン」と呼んでいらっしゃいました。

絵をつくる際には、暗い画面で黒白のハクセキレイの姿を際立たせるために、絵の黒い部分は雁皮紙と呼ばれる半透明の和紙に版画で刷り、夕焼けや街の風景はアクリル絵の具で別に絵を作って、絵の具で描いた絵の上に半透明の和紙を貼り合わせるようにして、原画を制作されています。


 私たちが朝おきて、夜ねむるのと同じように、身近な生き物たちにも日々の生活があります。

この絵本を読んだ小さな読者が、自分たちが眠っているあいだ、鳥たちがどんなふうに過ごしているか、想像をふくらませてくれたら嬉しいです。

作者情報


とうごうなりさ


1987年生まれ。東京農工大学地域生態システム学科を卒業後、イギリスのケンブリッジ・スクール・オブ・アートで絵本や児童書の挿絵を学ぶ。絵本に『じょやのかね』『さくらがさくと』、挿絵の仕事に『はりねずみともぐらのふうせんりょこう』(以上、福音館書店)、「ちいさなかがくのとも」に『アオサギの さかなとり』(2015年11月号)『きょうは たびびより』(2017年10月号、2019年ボローニャ国際絵本原画展入選)などがある。『Magnificent Birds』(英 Walker Studio)のイラストを担当。

書誌情報


読んであげるなら:3才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:24ページ
サイズ:2×2cm
初版年月日:2022年02月01日
通巻:ちいさなかがくのとも 239号