作者


山口てつじ

内容紹介


ハナミズキの葉っぱの裏に、カメムシ1匹みつけたよ。

背中にはちいさなハートマーク! あれ、人が近づいても逃げないね。

よく見ると、つやつやした緑色の卵を、たいせつそうに抱えてる。

もしかしてお母さんなのかな? 赤ちゃんは無事に生まれるかな? 

雨にも風にも負けず卵を守る「カメムシかあさん」と、その姿をやさしく見守る女の子との交流を描いた絵本です。

編集担当者 より


 

 背中にハート型の模様があることから、“幸運を呼ぶカメムシ”とも呼ばれる虫がいます。その名はエサキモンキツノカメムシ。全国に生息する小さなカメムシです。このカメムシ、産卵後のメスには面白い習性があります。6月から7月にかけて、卵からふ化した幼虫が独り立ちするまで、付きっきりで面倒を見るのです。この絵本では、雨にも風にも負けず卵を守る「カメムシかあさん」と、その姿を優しく見守る女の子との交流を描いています。
 作者の山口てつじさんは、夏はご自宅の庭木で生まれるカメムシの赤ちゃん、冬は家の中へ暖をとりにくるカメムシとの出会いを楽しみにされています。カメムシに親しみを感じてもらえるような絵本にしたいと、近所の公園で観察を重ねてくださいました。担当編集者も、6月に山口さんとハナミズキの葉を観察したところ、つやつやと薄緑色に光る美しい卵を宝物のように抱いたカメムシかあさんと出会うことができました。
 布に描く「手描き染め」の技法を使った温もりのある絵からは、山口さんのカメムシへの想いまで伝わってくるようです。この絵本を読んだ子どもたちが、身近なカメムシに興味を持ってくれたら嬉しいです。

作者情報


山口てつじ(やまぐちてつじ)


大阪府生まれ。季節感のある風景や動植物などを、風合いのある綿布に描く“手染め絵”の作品を制作・発表している。2013年、ボローニャ国際絵本原画展入選。広告、書籍、雑貨など幅広く活躍中。個展も多く開催している。絵本の仕事に、『たんぼに あおぞら みーつけた!』『みちては ひいて』(以上「ちいさなかがくのとも」)、『ねこになりたい』『ふきだしくん』(以上、出版ワークス)がある。大阪府在住。

書誌情報


読んであげるなら:3才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:24ページ
サイズ:2×2cm
初版年月日:2023年05月01日
通巻:ちいさなかがくのとも 254号