作者


八百板洋子 再話/大畑いくの


心優しいマリイカと、意地悪なイワンカ。

二人の少女は森でクマに出会い、それぞれツボをもらいます。はたして、その中身は……? 

日本の昔話で言えば、大きなつづらと小さなつづらが登場する「舌切り雀」にも似たこのお話。

善い者が報われ、悪い者が痛い目を見る、明快で痛快な物語です。

二人が身につける民族衣装など、美しく描かれたブルガリアの風俗も必見です。

編集担当者 より


この話に登場するふたりの女の子の性格は対照的です。

貧しいマリイカは優しく、働き者。

お金持ちのイワンカはいじわるで、なまけ者。

八百板洋子さんが「作者のことば」で書かれているように、二人のうち一方が幸せを手にし、一方が痛い目に遭うという展開は、昔話ではよく見られる形式です。

しかしこの物語に特徴的なのは、マリイカがイワンカたちの家には帰らないところです。

くまにもらった金貨を足がかりに、マリイカはひとりで生きてゆきます。

理不尽な生活から意志を持って抜け出し、自らきっかけをつかんで自立する姿は、現代の子どもたちにもきっと力を与えてくれることと思います。

作者情報


八百板洋子(やおいたようこ)


ソフィア大学大学院に留学。『ふたつの情念』(新読書社)、『吸血鬼の花よめ』でそれぞれ日本翻訳文化賞、『ソフィアの白いばら』で産経児童出版文化賞、日本エッセイストクラブ賞、『猫魔ヶ岳の妖怪』(以上、福音館書店)で産経児童出版文化賞美術賞、『金の鳥』(BL出版)で日本絵本賞を受賞。

大畑いくの(おおはたいくの)


1973年生まれ。絵本や挿絵、個展での絵画制作を中心に活動。『しげるのかあちゃん』(岩崎書店)で日本絵本賞を受賞。他の作品に『ハナノマチ』(白泉社)『そらのおっぱい』(農文協)『土神ときつね』(ミキハウス)『七人のシメオン』(BL出版)『わたしたちのえほん』(文溪堂)などがある。


読んであげるなら:5・6才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:32ページ
サイズ:26×19cm
初版年月日:2021年11月01日
通巻:こどものとも776号