作者


佐藤秀明 文・写真

内容紹介


新潟県上越市の山の中に、「中ノ俣」とよばれる小さなむらがあります。ここにすむおばあさん、おじいさんたちは、いまも昔ながらのくらしを営んでいます。山菜を採ったり、ワラ細工をしたり、棚田でお米をつくったり……。四季折々のむらの光景と、お年寄りたちの生活の知恵を、長年この地に通いつづけた写真家が紹介します。

担当編集者 より


山の中の中ノ俣には、お店は一軒もありません。

冬になると数メートルの雪がつもります。

住民全員が高齢者の、いわゆる「限界集落」でもあります。

きびしい場所に思えますが、ここにすむお年寄りたちは、みんな生き生きとくらしています。

作者の佐藤秀明さんは、そんな中ノ俣に魅せられ、約15年前に撮影をはじめました。

最初は、お年寄りたちが懸命に働く姿を眺めるだけで、ただただ幸せだったそうです。

しかし、むらの行事や、生活を支えてきた牧畜や田んぼが、ひとつ、またひとつと姿を消していく現実を目のあたりにして、いつしか「真剣に自分が撮らなくては」と思うようになりました。

「以前あったものがものすごい速さで消えていく」という感覚の中、使命感をもって、撮影を続けてきました。

中ノ俣と似たような中山間地の人里が、すこし前までは全国にたくさんあったはずです。

失われつつある古き日本のくらしの営みを、この作品を通して知って(思い出して)もらえればと思います。

作者情報


佐藤秀明(さとうひであき)


1943年新潟県生まれ。日本大学芸術学部卒業。フリー写真家。日本写真家協会会員。1967年ニューヨークへの旅を振り出しに世界や日本を旅し、雑誌やグラフ誌を中心に作品を発表。現在は日本各地の雨を取材中。主な写真集に、『ガクの冒険』(本の雑誌社)、『地球極限の町』(情報センター出版局)、『海まで100マイル』(片岡義男と共著 晶文社)、『ユーコン』(スイッチパブリッシング)など多数。

書誌情報


読んであげるなら:―
自分で読むなら:小学中学年から
定価:770円(税込)
ページ数:40ページ
サイズ:25×20cm
初版年月日:2021年05月01日
通巻:たくさんのふしぎ 434号