保育の中で役立つ季節の絵本を折々にご紹介していきます。


『きょうはハロウィン』  

平山暉彦 作

アメリカの子どもたちは、ハロウィンをクリスマスと同じくらい楽しみにしています。仮装をして友だちと夜に出かけたり、お菓子をもらえたりと、普段の生活では味わうことのできない興奮に満ちた一夜を過ごせるからです。そんな子どもたちのワクワク感に満ちたハロウィンの夜の雰囲気を、めいっぱい味わえる絵本『きょうはハロウィン』をご紹介します。

アメリカに引っ越してきた日本人の男の子・ケンちゃんが主人公。ある日、隣の家の玄関に変な顔のカボチャが置いてあるのを見つけたケンちゃんは、「ハロウィン」という「おばけがくる日」について、お母さんに教えてもらい、お母さんとかぼちゃのランタンを作りました。その日の夜、「トリック・オア・トリート!」という声とともにやって来たのは、おばけや魔女の仮装をした近所の子どもたちでした。

ケンちゃんも隣の家に住むピートに誘われて、一緒に近所の家を回ることになりました。お母さんに作ってもらったお面をかぶって、ケンちゃんも仮装します。仮装をした友だちと「トリック・オア・トリート!」と言いながら、お菓子をもらいに、夜の町にいざ出発! ところが、初めての経験に緊張して、ケンちゃんは大きな声で「トリック・オア・トリート」と言うことができません。

次こそ大きな声を出すと決心し先頭に立って歩き出しますが、着いたのは町外れの古びた家の前。もしかして、本物の魔女の屋敷……?と、友だちがしりごみする中、ケンちゃんはあることに気がつきます。さて、ケンちゃんは勇気を出すことが出来たのでしょうか……。

本場アメリカのハロウィンの夜の雰囲気を味わえる絵本ですが、ちょっと引っ込み思案なケンちゃんが新しい環境になじもうとがんばる様子も見どころです。

いまはコロナ禍で、大勢が集まる催しの開催はむずかしいかもしれません。せめて絵本の中では、子どもたちの一夜の冒険を存分に味わってみてください。

作者情報


平山暉彦(ひらやまてるひこ)


1938年、大阪市生まれ。広告代理店クリエイティブ部門で広告制作に携わる。主な著作に『サーキットを駆ける狼たち』(二玄社)『アルファロメオ レーシング ストーリーズ』(三樹書房)。絵本に『ブルブルさん やまへいく』(「こどものとも年少版」2020年3月号)『きょうはハロウィン』『のびるじどうしゃ』など。児童漫画に『ひみつのたからチョコラーテ』(以上小社刊)などがある。東京都在住。

書誌情報


読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:―
定価:990円(税込)
ページ数:32ページ
サイズ:20×27cm
初版年月日:2016年9月10日
シリーズ:こどものとも絵本