作者


渡辺郁子

内容紹介


春になったら、雪は溶け、草木は目覚め、鳥や魚は動き出す。

けれど桜の枝は冬と変わらず裸のまま。

春が来たって、気が付いていないのかな? でも遠くから見ると、枝のまわりがほのかにピンク色に染まっている気がする。

きっと桜の木の中には、春の色がいっぱい詰まっているんだ……。

一人の女の子の目を通して、新しい季節の訪れを繊細に描きます。

担当編集者 より


この作品は、渡辺郁子さんが自主制作をした同名の絵本が元になっています。

雪国での春の訪れが、詩的な言葉と繊細な絵で表現された美しい本です。

この度、文章の推敲とすべての絵の描き直しを経て、新たな絵本として生まれ変わりました。

この絵本では、様々な春の予兆が描かれています。

たとえば、根開きと呼ばれる現象。日差しが強くなってくると、温められた幹の熱などにより木のまわりの雪がとけて、地面が丸く顔を出すのです。

冬の間はおとなしかった鳥や魚も、次第に元気に動き出します。

一見すると冬の姿と変わらない桜の枝も、その内側では花を咲かせる準備を整えているのでしょう。

そんな春の気配を、この絵本から感じていただけたらと思います。

作者情報


渡辺郁子(わたなべいくこ)


1975年、秋田県生まれ。秋田公立美術工芸短期大学(現 秋田公立美術大学)木材工芸学科卒業。絵画造形教室講師、絵描き、布作家。国分寺絵本の会に入会し絵本を作り始める。「東京展」に絵本を出品、優秀賞受賞。絵本は今作がはじめて。

書誌情報


読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:28ページ
サイズ:26×19cm
初版年月日:2022年03月01日
通巻:こどものとも年中向き 432号