作者


なかのゆき 文/鈴木永子

内容紹介


なみの家の猫とらちゃんに、もうすぐ赤ちゃんが生まれます。

お産を前に落ち着かないとらちゃん。

心配するなみに、お母さんは「大丈夫、しずかに待ちましょう」と言いました。

そこでなみは、しずかにしずかに、とらちゃんを想いながら待ちます。

せいいっぱいの思いやりとともに命の訪れを待つお話です。

担当編集者 より


出産は、人にとっても動物にとっても一大事、現場は必死で懸命です。

一方の見守る側からすれば、いよいよというときは、どんなに親しい間柄でも待つことしかできません。

本作のなみちゃんはそれでも、とらちゃんのために何か自分にできることをしようと、懸命に「しずかに しずかに」します。

本作はそんな、しずかに祈るように命を待つなみちゃんのお話です。

 

作者のなかのゆきさんは、幼いころから様々な動物と暮らしてきた思い出を重ねながら、長い時間をかけて物語を書き上げられました。

絵の鈴木永子さんは、親しい女の子をモデルに膨大なスケッチを重ね、一生懸命ななみの姿を生き生きと描かれました。

作家ふたりのしずかな、ひたむきな思いが実を結んだような、ぬくもりに満ちた一冊です。

子どもたちが身近な命の気配に耳をすましたり、自分の来し方に思いをはせたり、そんなしずかなしずかなひとときにつながればうれしく思います。

作者情報


なかのゆき


兵庫県生まれ。絵本・童話・料理研究・宮澤賢治をテーマに、食べて・作って・考えている。新美南吉童話賞優秀賞、神戸新聞文芸児童文学部門年間賞を受賞。絵本に『いいおてんき』(「こどものとも年中向き」2017年8月号)、その他の著書に『宮澤賢治のレストラン』(平凡社)など。兵庫県在住。

鈴木永子(すずきながこ)


1953年、秋田県生まれ。日本画を学び、広告デザイン業を経てフリーのイラストレーターになる。おもな絵本に『ちょっとだけ』(文・瀧村有子)『はやく かえってこないかな』(ともに福音館書店)『パパとあたしのキャンプ』(ひさかたチャイルド)『でっかいかまくらつくったよ』『もどっておいで』(ともにリーブル)など。茨城県在住。

書誌情報


読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:28ページ
サイズ:26×19cm
初版年月日:2022年05月01日
通巻:こどものとも年中向き 434号