3~4歳になると、ぐんと広がっていく子どもたちの世界。ストーリーを楽しむ中でさまざまな感情表現があじわえる絵本を、「こどものとも年少版」の作品から特別に10冊選んだ、「こどものとも社」でしか扱っていないセットです。
他者とのかかわりが増えるなかで感じる不安やさびしさ、恥ずかしい気持ち、思いやりの心や喜び、そしてまわりの自然や景色を愛でる感覚など、さまざまな感情の芽生えを確認したり、共感したりできる10冊の絵本たちです。ぜひ子どもたちとともにお楽しみください。

こどものともひろば 運営係


「ものがたりの楽しさと出会える絵本10選」


内容のご紹介


『なっちゃんも ついてこーい』

こいでやすこ さく
初版年月日:2003/11/1

犬のジョンといっしょにままごとをしていたなっちゃん。

ところが、けんたくんがジョンを連れ出してどこかへ行ってしまいます。ひとりになったなっちゃん。

するとけんたくんが戻ってきて「なっちゃんもついてこーい」と言います。なっちゃんは、けんたくんの後を追って必死で走ります。

着いたところはけんたくんの秘密の家。ふたりはそこでおやつを食べ、夕方になったので急いで帰りますが、古い家の塀をくぐり抜けようとした時に、けんたくんがなにものかにつかまって……。

なっちゃんは、一人遊びを楽しむ物静かな子で、けんたくんに言われるままにあとをついていきます。

でも、ハプニングが起きた時にけんたくんを助けたことで、ふたりの関係が少し変わります。ついていくだけだったなっちゃんがけんたくんと肩を並べて歩き、次の日はいっしょにドングリとりに行く約束をします。


すこしシャイな子どものささやかな成長を、自然の情景とともにユーモラスに描いた作品です。


『ちいさな くろい いし』

マレーク・ベロニカ 作/石津ちひろ 訳
初版年月日:2008/3/1

砂浜にたくさんの石がころがっています。その中に小さな黒い石がありました。


砂浜にやってきた子どもたちが集めるのは、大きな石やカラフルな石や白い石ばかり。
「だれも ぼくなんて いらないんだ」と、小さな黒い石はしょんぼり。


ところが、もう一度石を探し始めた子どもたちが、「これなら、ぴったり!」と探し当てたのは、小さな黒い石でした。そのわけは……。


ロングセラー絵本『ラチとらいおん』で知られるハンガリーの絵本作家マレーク・ベロニカさんの作品です。


引っ込み思案で目立たなく、どうせ自分なんてと卑下してしまう気持ち、子どものみならず大人でも共感する体験をお持ちの方はいらっしゃることでしょう。


でも、誰にでも必要とされるふさわしい場所がある、ということを、自然なストーリーの中でさりげなく伝えていて、内気な子どもには励ましのエールに、そして、すべての人を温かな気持ちにさせてくれる作品です。


『ブルくんのおうち』

ふくざわ ゆみこ さく
初版年月日:2011/4/1

大きな犬のブルくんとかなちゃんは大の仲良し。


ある日、うっかり自分の犬小屋を壊してしまい、ブルくんはしょんぼり。
おまけに次の日、かなちゃんは部屋にこもってブルくんにかまってくれません。


「犬小屋を壊したことをおこっているのかな」と、ブルくんは悲しくなります。ところが……。


『ブルくんとかなちゃん』『ブルくんかくれんぼ』がハードカバーになっている人気シリーズの一作です。

お互いを想い合う気持ちが空回りして、いつも感情のすれ違いを引き起こしてしまうふたりですが、最後は強い心のきずなを確認しあえるエンディングが待っていて、温かな気持ちになれる絵本です。


『チェンチェンとクゥクゥ』

さくら せかい さく
初版年月日:2014/3/1

パンダのチェンチェンはある日、山で小さな金色のサルに会います。
チェンチェンが声をかけても、サルはさっと逃げてしまいます。


次に会ったときには「クゥクゥ」といって姿を消します。


三度目に山に行ったとき、クゥクゥの姿を見失って帰ろうとしたチェンチェンは、大雨の中、川でおぼれそうになります。すると、それを見たクゥクゥは、仲間を呼び集めて、みんなでチェンチェンを助けます……。

クゥクゥはシャイで、思いを言葉で表現したり、自分から積極的に友達になったりはできません。


でも、言葉を交わさなくても通じ合うことはできる……そんなチェンチェンとクゥクゥのやりとりが、静かに心に染み入る作品です。

ちなみにクゥクゥはキンシコウという中国の山地に住む希少なサルです。
中国の山奥では、人知れず、パンダとキンシコウのこんな交流があるかもしれませんね。想像してしまいます。


『ゆっくりのんのちゃん』

わたり むつこ 作/でくね いく 絵
初版年月日:2014/6/1

雨上がり、カタツムリののんのちゃんとカエルのぴんとくんは、いっしょにテントウムシのてんてんおばさんの家にでかけます。


のんのちゃんはとてもゆっくり。ぴんとくんはじれったくなって先に跳んでいってしまいます。その後何度も、ぴんとくんは忘れ物をして戻ってきますが、そのたびにのんのちゃんを追い越していきます。


それでものんのちゃんは、ゆっくりゆっくり。途中でしずくとおしゃべりしたり、虹をながめたり、みずたまりに映る雲のようすを愛でながら。


カタツムリとカエルの対照的な姿がユーモラス。

そして、のんのちゃんがゆっくりだからこそ気づくことのできる情景を、詩情豊かに描いているみずみずしい絵本です。


『ひとくち どーぞ』

山﨑克己 さく
初版年月日:2016/7/1

人になにかを「どーぞ」と分けてあげることの喜びを描いた作品です。

ねこやうさぎに「どーぞ」とクッキーを差し出しても、「いらない いらない」と断られてしまい残念そうな男の子。

おかあさん犬や子犬から「ひとくち ちょうだい」と求められているときの表情は実にうれしそうです。

でも気づいたらクッキーが全部なくなってしまい…… 

最後には無事、大きなクッキーを女の子からもらってにっこり大団円となります。

自分の好きなものを人に分けてあげることの喜びと、でも、ちょっともったいないなという子どもの気持ちに見事に寄り添った物語です。

山﨑克己さんによる温かみのある絵は、厚紙を彫刻刀で彫る紙刻絵(しこくえ)という手法で制作されています。


『だいじなくつ』

にしむらあつこ さく
初版年月日:2017/11/1

子どもが3歳くらいになると、いろいろなことへのこだわりが強くなってきます。お気に入りのものを毎日身に着けたがったり。

この作品の主人公のももちゃんもママに買ってもらったお気に入りの赤い靴といつも一緒です。

そんな大切な靴がなくなってしまったら……さあ大変。

ママが探してくれている間、ももちゃんは「待ちくたびれて帰ってしまったのかも」とか、「どこかでかくれんぼしているのかも」とか、いろいろと考えを巡らせます。

3歳の子どもにとって、それはありえないことではなくて、本当に起きているかもしれないことです。

読んでもらっている子どもたちからも、どこに行ってしまったのか、アイデアが出てくるかもしれませんね。

最後は、靴を間違えてしまった女の子が戻ってきて、めでたしめでたしとなりますが、その女の子とお友達になるのではなくて、お気に入りの靴と一緒に「タッタカターッ」とかけていくのもこの年齢の子どもの素直な気持ちに寄り添った展開です。


『ちいさな はりねずみ』

八百板洋子 文/ ナターリヤ・チャルーシナ 絵
初版年月日:2018/3/1

子どもにとって、世界は新しいものであふれています。

でも現実の世界では、大人の目の届かない場所で好奇心のままに冒険をすることはなかなか難しいもの。

そんなとき、ものがたりの世界は子どもたちの冒険したい気持ちをしっかりと受け止めてくれます。

この物語の主人公のちいさなはりねずみは、好奇心に誘われるまま、面白いことや、怖いこと、楽しいこと、いろいろなことをひとりで経験します。

そして最後はお母さんと一緒にうちへ帰ります。その日あったことを聞いてもらいながら。

自分の話を信頼する大人に聞いてもらうことも、冒険と同じく、子どもは大好きです。


『すきとおり すけのすけ』

大槻あかね さく
初版年月日:2019/1/1

静かで不思議な絵本です。いるのに見えない、すきとおりすけのすけさん。

作品の前半では、ものがはねたり、手で輪郭をなぞったり、様々な方法で「見えなかったものが見えてくる」おもしろみをあじわえます。

後半では、すけのすけとペンキやさんの出会いと別れが描かれます。

せっかく出会えたのに、最後はまた見えなくなってしまうすけのすけ。

なんだか寂しい気持ちになりますが、見えなくなってもすけのすけが「どこかにいる」ことはもうみんな知っています。

読み聞かせてもらってすぐにわかる作品ではありませんが、子どもの心に長く残るものがたりです。


『どうぞ どうぞ』

こさかまさみ 文/ 山内彩子 絵
初版年月日:2019/3/1

ねずみの畑に、ひとりでは食べきれないほどたくさんのいちごがなりました。そこで「みなさんどうぞ」とお知らせを出します。

うさぎ、きつね、くまが順番にやってきて「いちごを すこし くださいな」とお願いして、いちごを持って帰ります。ねずみは畑仕事にいそがしく、どんどん減っていくいちごに気づきません。

読み聞かせてもらっている子どもたちは、当然気づいています。

仕事を終えて振り返ったら、残ったいちごはひとつっきり!うさぎが訪ねてきたときに慌てて最後のいちごを後ろに隠してしまうねずみの気持ちはよーくわかりますね。

くま、きつね、うさぎが、サンドイッチ、ケーキ、プリンを持ってきてくれたことが分かったときのほっとしてうれしくなる気持ち、そしてその食べ物のおいしそうなことを山内彩子さんの絵が存分に伝えてくれます。

書誌情報(セット)


読んであげるなら:―
自分で読むなら:―
定価:10冊セット定価9,900円(本体9,000円)
ページ数:各24ページ
セットボックスサイズ:24×22cm
初版年月日:2022年5月26日
シリーズ:―