作者


佐々木ランディ 文/矢野恵司

内容紹介


世界中の沈没船にご案内。

トルコのエーゲ海に眠る古代の宝船、鎌倉時代に神風で海のもくずと消えた元寇の船、たった1300メートル進んだだけで沈んでしまったスウェーデンの王様が作った豪華な軍艦など。

どんな沈没船が見つかっていて、調べるとなにがわかるのか、水中考古学の研究者が楽しく解説します。

担当編集者 より


「元寇で本当に神風が吹いたのか?」
「海賊たちは船のなかでどんな生活をしていたのか?」
「古代の船はどうやって作られていたのか?」
これらの答えは沈没船の調査から明らかにされています。沈没船といえば「金銀財宝」がまず思い浮かぶかもしれませんが、海底に残された船体や遺物を調査することで、金銀よりも価値のある歴史的発見がなされてきました。著者の佐々木ランディさんは日本では数少ない水中考古学の研究者です。本作では、日本と世界の沈没船のなかから、専門家の視点で特におもしろい水中遺跡を選りすぐり紹介します。まさに沈没船のベスト版とも言えるような登場ラインナップはこちらです。
(1)神風で沈んだ元寇の船/日本
(2)古代の宝船ウルブルン沈没船/トルコ
(3)古代の廃品回収船ケーブゲラドニア沈没船/トルコ
(4)鎌倉時代の高級品を運んだ新安船(韓国)
(5)海底から船ごと引きあげて調査が行われた南海1号/中国
(6)進水後すぐに沈没してしまった豪華軍艦ヴァーサ号/スウェーデン
(7)荒くれのもののイメージを覆す海賊船アン女王の復讐号/アメリカ
(8)津波で海底に沈んだ海賊の街ポートロイヤル/ジャマイカ
(9)復元船が日本にも来た古代の船キレニア号/キプロス
(10)特攻で沈んだアメリカ軍の駆逐艦エモンズ/日本
(11)世界ではじめて実戦投入された潜水艦ハンリー号
それぞれを佐々木さんが研究者ならではの視点でシンプルに楽しく解説してくださっています。そして、沈没船の調査からわかったことやそのエピソードに驚きながら読み進めるうち、水中考古学の奥深さにふれる・・・・・・そんな作品になっています。
 本作の絵を担当したのは、イラストレーターの矢野恵司さんです。児童書の仕事ははじめてです。元寇の遺跡の眠る長崎県鷹島で取材をしたり、膨大な量の写真や資料を元にしたりしながら、水中考古学的発見のエッセンスを色彩豊かに美しく表現した絵は、本作の見所のひとつです。

作者情報


佐々木ランディ(ささきらんでぃ)


1976年生まれ、神奈川県出身。高校卒業後、渡米し考古学を学ぶ。テキサスA&M大学大学院にて博士号(人類学部海事考古学)取得。帝京大学文化財研究所准教授、一般社団法人うみの考古学ラボ代表理事。主な著書に、『水中考古学:地球最後のフロンティア』(エクスナレッジ)、『沈没船が教える世界史』(メディアファクトリー新書)など。

矢野恵司(やのけいじ)


1988年生まれ、高知県出身。イラストレーター。東京藝術大学彫刻科卒業、同大学院美術解剖学研究室修了。株式会社任天堂でデザイナーとして勤務後、2017年よりイラストレーターに。主な仕事に、資生堂プロモーションDM、中村佳穂シングルジャケット、劇団ロロのチラシビジュアルなど。横浜美術大学非常勤講師。

書誌情報


読んであげるなら:―
自分で読むなら:小学中学年から
定価:770円(税込)
ページ数:40ページ
サイズ:25×20cm
初版年月日:2023年07月01日
通巻:たくさんのふしぎ 460号