作者


澤口たまみ 文/サイトウマサミツ

内容紹介


冬の林を歩いていると、小さな音が聞こえてくる。

つーつーつー、ちゅるるるる。

あっ、鳥だ! 

次から次へとやってくる。

しっぽの長い鳥、頭の黒い鳥、海苔を巻いたおむすびみたいな頭の鳥……みんなそれぞれ鳴き声も違うんだね。

しずかな林が、あっという間に賑やかになっちゃった。

あれれ、のんびり木をつついている鳥もいるよ。

編集担当者 より


冬は、生き物たちにとって、木々が葉を落として敵から見つかりやすくなるうえに、食べ物探しに苦労する季節。

この厳しい時を乗り越えるために、小鳥たちは複数の種類で集まって“混群”(こんぐん)と呼ばれる群れを作ります。

じつは、鳥たちが行動を共にすることにはメリットがいくつも。敵をいち早く発見して身を潜めたり、食べ物を効率よく見つけたりできるようになります。

日本でよく見られるのは、シジュウカラを中心としたカラ類の混群で、そこにエナガやコゲラなどが混じることも。聞こえてくる鳴き声も色々です。

食べ物を得るために、ひとところに留まらず色々な場所を巡るので、住宅街やちょっとした緑地などでもすれ違うチャンスがあります。

そんな鳥たちと出会う楽しさを1冊の絵本にしてくださったのは、「ちいさなかがくのとも」ではおなじみの澤口たまみ氏とサイトウマサミツ氏です。

澤口氏の案内で、岩手県花巻市の公園や城趾を二度の冬に渡って歩きました。

しずかな冬の林に響く鳥たちの鳴き声、木をつつく音、羽ばたきの音……。

どれもリズムよく、声に出して気持ちよく感じられるように、澤口氏が文章を紡いでくださいました。

サイトウ氏は、ちょこちょこ止めどなく動きさえずる小鳥たちを生き生きと描いてくださっています。

小鳥たちを受け止める林の木々も、存在感たっぷり。ひとたび絵本を開けば、鳥たちの待つ冬の林にぐいぐい引き込まれること、うけあいです!

この本を読む子どもたちが、絵本のなかの男の子になったような気持ちで、鳥たちに出会う時間を思う存分たのしんでくれたら嬉しいです。

作者情報


澤口たまみ(さわぐちたまみ)


岩手県生まれ。岩手大学農学部で応用昆虫学を専攻、修士課程修了。著書に『虫のつぶやき聞こえたよ』(白水社)、絵本に『だんごむしの おうち』(絵・たしろ ちさと)『いもむしってね…』『わたしのこねこ』(ともに絵・あずみ虫/以上、福音館書店)など。「ちいさなかがくのとも」も著書多数。岩手県在住。

サイトウマサミツ(さいとうまさみつ)


千葉県生まれ。イラストレーター。多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業。「ちいさなかがくのとも」に『はっぱ はらっぱら はっぱっぱ』『はだしになっちゃえ』『くり くり くりひろい』『とんぼ とんぼ あかとんぼ』『なくむし こみち』『むしが こんなこと していたよ』などがある。東京都在住。

書誌情報


読んであげるなら:3才から
自分で読むなら:―
定価:440円(税込)
ページ数:24ページ
サイズ:20×23cm
初版年月日:2020年12月01日
通巻:ちいさなかがくのとも 225号